【9月26日 AFP】東南アジアで最も貧しい国の一つ東ティモールの議会は25日、ぜいたくな特権に対する学生主導の抗議デモを受け、国会議員経験者らの終身年金を廃止する法案を可決した。

国会議員と一部の公務員の経験者は、2006年に制定された法律に基づき、給与と同等の年金を受け取る権利がある。

だが、議会は25日、国会議員、大統領、首相、閣僚の経験者の終身年金を廃止する法案を全会一致で可決した。

東ティモールの尊厳と繁栄を希求する政治団体(KHUNTO)のオリンダ・グテレス議員は採決後、「すべての大学生の皆さん、皆さんの要求は実現しました。どうかデモを止めてください」と呼び掛けた。

抗議デモは先週、首都ディリで始まり、数千人が議会に対し、420万ドル規模の議員のためにスポーツ用多目的車(SUV)を購入する計画の撤回を求めた。

その後、国会議員経験者らの終身年金などの他の問題にも波及した。

大学生のフォルトゥナタ・アルベスさん(23)はAFPに対し、「私たちの闘いは無駄ではない。これが私たちの望みだ。議会が正しい決定を下した今、財源は農業、医療、教育といった有意義な部門に配分される」と語った。

法案は、ジョゼ・ラモスホルタ大統領の署名を経て成立する。

発端は、2025年度予算で、国会議員65人全員に自動車大手トヨタの「ランドクルーザープラド」を1人1台購入する項目が承認されたことだった。この決定に貧困にあえぐ国民は激怒した。

世界銀行によると、東ティモールでは人口の40%以上が貧困状態にある。

先週には、数千人規模の抗議デモが2日連続で行われた。デモ隊の一部は暴徒化して警官隊に投石し、警官隊は催涙ガスで応戦した。

議会は最終的に国民の圧力に屈服し、「2025年度予算に盛り込まれた新車(ランドクルーザープラド)調達プロセスを中止する」決議を全会一致で採択した。

東ティモールはインドネシアに20年以上占領された後、2002年に独立したが、経済は依然として石油資源に大きく依存しており、大きな格差、高い栄養不良率と失業率に苦しんでいる。(c)AFP