【9月25日 CNS】中国人力資源・社会保障部はこのほど、第7弾となる新たな職業分類を発表し、その中にはペット経済に関連する「補助犬訓練士」も含まれていた。近年、中国でペットを飼う人の増加に伴い、ペットの食事や衣類、日用品、移動、美容、医療といった細分化されたサービス分野が急速に発展している。

北京市に拠点を置く人材サービス企業「智聯招聘(Zhaopin)」が7月に発表した「2025年第2四半期人材市場ホットリポート」によると、今年第2四半期において、ペットサービス業は求人件数の増加率が72.2%となり、中国の全サービス業界の中でトップに立った。業界全体の求人のうち、ペット美容師が46.1%を占め、前年比73.9%の増加となった。さらに、ペット医師は17.8%を占め、増加率は171.1%に達している。特に中国の一線都市では、ペットサービス業の需要が顕著に伸びている。

中国は世界最大の既存市場であると同時に、世界で最も成長余地の大きいペット市場でもある。「2025年中国ペット産業白書(消費報告)」によると、2024年の中国都市部における犬猫の飼育数は1億2000万匹を超え、2023年比で2.1%増加した。消費市場規模も7.5%拡大し、3002億元(約6兆2549億円)に達している。さらに中国の調査機関「艾媒諮詢(iiMedia Research)」の報告では、2028年には中国のペット経済市場規模が1兆1500億元(約23兆9615円)に達する見通しが示されている。

こうした背景のもと、「ペットフレンドリー」という理念が広く浸透しつつあり、公共サービスの高度化やビジネスの新しい発想の源泉になっている。今年に入り、中国の複数の航空会社が「ペット同伴サービス」を開始し、ペットが飼い主と一緒に客室に搭乗できるようになった。杭州蕭山国際空港(Hangzhou Xiaoshan International Airport)では、華東地域で初めてペット専用の待合室を開設し、スマート航空箱や環境監視システム、専任スタッフによるケアなどを備え、20匹の犬と30匹の猫を収容可能にしている。また、高速鉄道のペット輸送サービスも今年から試験的に導入され、順次拡大が進んでいる。これら公共サービスの改善は、ペットオーナーたちから好意的に受け止められている。

移動サービスの向上に加え、ペットフレンドリーな商業施設や公共空間も各地で次々に誕生している。多くの都市でペット専用の公園や観光プログラムが整備され、ペットの活動空間を提供することで地域経済の活性化にもつながっている。例えば、河北省(Hebei)秦皇島市(Qinhuangdao)の阿那亜ではペット同伴型のマリンツーリズムを展開し、ペット専用の客室も用意している。今年の夏以降、同地では1500組以上のペットオーナーを迎え入れ、直接消費は2000万元(約4億16722万円)を超えたという。

また、ペットサービス経済の産業チェーンが広がるなかで、異業種との融合も新たな潮流となっている。商業施設、ホテル、飲食店などが「猫カフェ」や「犬のジム」といったペット関連スペースに投資を行い、家電メーカーはペット用ドライヤーボックスや抜け毛掃除機を開発、美容ブランドはペット用の低刺激シャンプーやケア商品を展開している。さらに、ペット保険やオンライン診療などの新サービスも広がりを見せ、多くの飼い主に支持されている。

専門家は、ペットサービス産業が細分化し高度化する中で、企業にとってはチャンスであると同時に課題でもあると指摘する。ペットオーナーの最新のニーズをどう把握し、サービスを革新し続けるかが、今後の業界にとって避けて通れない課題だという。(c)CNS/JCM/AFPBB News