浙江省平陽県:小さなペットから生まれる大きなビジネス・中国
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【10月7日 People’s Daily】「週末に愛犬とファッションショーを楽しんでから、ペット用品スーパーに立ち寄ってみてくれ。隣にはペットフードの缶詰工場もあるよ」、90年代生まれの曽堯(Zeng Yao)氏は浙江省(Zhejiang)平陽県(Pingyang)の出身だが、ペットを飼う友人に出会うと、自分の宝物のような故郷をすすめている。
平陽は山紫水明の美しい土地で、敖江(Aojiang)が街を貫いて流れている。田舎の民宿に設けられた犬小屋や猫砂(ねこずな)からペットがテーマの壁画まで、山あいの平陽では、ペットに関連した要素が至るところで見られる。
20数年前、平陽で最も盛んだったのは皮革業で、皮革加工企業は1200社以上に上った。皮革業は地元に富をもたらす一方、環境汚染問題も引き起こした。平陽では転換とアップグレードが差し迫った課題だった。
「1990年代、取引先が豚皮や牛皮の端材を買い取りに来た時に、これがペット用ガムに使えると知ったんだ」、平陽県水頭鎮の陳振標(Chen Zhenbiao)氏は事業を始めた当時をこう振り返る。商機を感じた陳氏は、高タンパク質のペット用品を生産する「佩蒂皮革製品工場」を設立した。
現在、水頭鎮の寵楽路には、道路を挟んで向かい合う2つのペット用品の上場企業があり、その製品は海外に輸出されている。2024年、平陽の約100社のペット用品企業の総生産額は50億元(約1034億円)以上となった。そのうち、ペット用ガム(そしゃく食品)の輸出額は、その商品の全国の輸出額の半分以上を占め、ペット用リードの生産量は国内市場の3分の1を占めている。
「佩蒂動物栄養科技(Petpal Pet Nutrition Technology)」の生産現場に入ると、ペット用新型主食の生産ラインで作業員たちが鴨肉、鶏肉、牛肉などの原材料をカットした後、フリーズドライ倉庫に入れ、高品質なフリーズドライ主食を生産していた。
「消費者の品質とブランドへの追求が絶えず高まり、巨大な細分化市場が形成されている」、同社の唐照波(Tang Zhaobo)副総経理はこう説明する。
同社はペット用ガムのほか、ペット用の主食や肉質おやつ、ペット用アイスクリームなど多様な製品を生産している。
以前は鞄の商売を手がけていた曽堯(Zeng Yao)氏も新たな商機を見出した。彼は水頭鎮の皮革産業という伝統的な強みを生かし、透明なペット用キャリーケースを開発した。
このほか、近隣の万全鎮では、企業が従来の家具製造という産業基盤を活かし、ペット用ソファや猫用爪とぎ板などのペット家具の生産に業種転換している。
地元政府の指導の下、それぞれの郷鎮が地域特性に応じた措置を講じ、平陽のペット用品のカテゴリーは、今やペットフード、おやつ、ペット玩具、ペット用キャリーバッグなど数十シリーズ、数千品種にまで拡大している。
■製品が日増しに豊富になる中、市場開拓がより重要になっている
曽氏は「以前は国内でペットを飼う人がそれほど多くなかったので、地元企業のほとんどは輸出を手がけていたが、今は国内市場が盛り上がり、このチャンスを捉えなければならない」と言う。
地元では、優れたペット関連製品を全国に広めるため、水頭鎮に「ペットタウンゲストルーム」と称するペット用品のショッピングモールをオープンさせた。広大な展示場には平陽の「ペットタウン」および全国各地のペット用品が集められ、消費者は自由に商品を選ぶことができる。
また、壁一つ隔てたところに新設されたライブ配信基地も賑わいを見せている。曽堯氏は「ライブコマースとオフラインの文化観光・商品販売の両方で、企業の販売支援やインフルエンサーブランドの育成を図っており、現在すでに水頭鎮の地元のペット用品ブランド50社以上が入居している」と説明する。
現在、曽氏にはもう一つの肩書がある。技術サービス、デジタルソリューションを手掛ける「温州玖升数字産業発展」の董事長だ。曽氏はスマホを開いて、彼が開いたオンライン店舗「浙江平陽ペットタウン専門店」の画面を示した。このオンライン店舗はすでに中国のEC大手「京東(JD.COM)」のプラットフォームに開設されている。
ライブ配信ルームでは、司会者の曽心怡(Zeng Xinyi)さんがオンラインで視聴者と活発に交流している。彼女は平陽県第二職業学校のペット養護専門課程を卒業した後、故郷に残ることを選択した。彼女の母校にはペット関連の専門課程が数多く設置されており、企業と人材供給協定を結んでいるため、多くの学生は就職に悩まなくてもよいのだ。
「ペットタウン」が建設されれば、もちろんかわいいペットたちの存在も欠かせない。ブランドモールが定期的に開催するさまざまなペット体験イベントから、継続的に実施されるペット競技会、ペット同伴旅行コースまで、今や地元は美しい山水を利用して、文化と観光の融合を通じて、街のあちこちにかわいい小さな「生き物たち」の姿を、どんどん増やしている。
平陽県文化・広電旅遊体育局の責任者は「我々はペットをテーマにした旅行ルートを整備し、ペット預かり、ペット同伴キャンプ、ペット同伴バス、ペット対応ホテル、セルフケアなどのサービスを展開し、ペット愛好家がペットと共に楽しめる観光地作りの後押しを計画している」と述べている。
曽堯氏は「かわいいペットも大きなビジネスチャンスだ」と自信に満ちた口調で話す。彼は今後「平陽ペットタウン」のブランドショッピングモールを、さらに多くの都市に展開し、より多くの人たちに平陽のペット製品を知ってもらおうと準備を進めている。(c)People’s Daily /AFPBB News