【9月30日  People’s Daily】中国南西部の重要都市である四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)は、独特の文化的背景、便利な立地条件、優れたビジネス環境を武器に、外資企業の投資と事業展開、定着と発展を促している。現在、成都には4000社を超える外資企業が集まり、この地で投資、起業、生活をする外国人の数は10万人以上にのぼる。

「巴适(Bashi、四川方言:最高だよ)」、成都に居を構えた理由を尋ねられたオランダ人・ロバートさんは、そう即答した。

2008年、ロバートさんはオランダの大学で四川省出身の女性・陳汝澤(Chen Ruze)さんと知り合った。二人は恋に落ち、いっしょに卒業し、就職した。13年、ロバートさんは新婚の妻に連れられて四川省の自貢市(Zigong)に里帰りし、ついでに成都を観光した。

成都は歴史が古く、文化的資源が豊富で、都市の特色が鮮明で、外国人観光客にとって最も魅力的な都市の一つだ。ロバートさんは、風景や名所に魅了されただけでなく、広場で踊る人びとや茶館でお茶を楽しむ人たちなど、気ままで自由な生活スタイルに強く惹かれた。

15年初頭、夫妻は成都に居を定めた。ロバートさんは中国語を学び、新しい環境にも順応した。「ここには伝統文化もあれば現代的な生活もある。史跡、パンダ、川劇(四川オペラ)、展覧会、火鍋、茶館など面白いものが多すぎる」、彼は成都の暮らしにとても満足している。
  
当時、成都では「国際交流センター」建設計画が発表されたばかりで、海外人材や留学生を積極的に招致するための政策が同時に進められていた。ロバートさん夫妻は、十分な調査を経て、16年に海外人材の就職支援企業「成都宜可睿科技」を設立した。

同社は17年に成都高新技術産業開発区の「国際人材城」に移転し、賃貸料減免の優遇を受けた。陳さんによれば、同社はインターナショナルスクールや中国に進出する外資企業の人材募集のサポートを主要な業務にしている。

同社は、23年に同じ区内に新たに設置された「国際人材港」に移転し、また新たな賃貸料免除期間を獲得した。

成都高新技術産業開発区は「国際人材港」を中核として、中国中西部地域における重要な人材サービス産業の拠点、そして世界の若手人材のための起業とイノベーションの活動エリアの建設に力を注いでいる。

近年、成都の「国際色」はますます鮮明になっている。中国の旅行サイト「携程(Trip.com)」が発表した「2024年中国旅行先人気マップ」で、成都は外国人観光客が選ぶトップの都市となった。

成都は、さまざまな人材関連のプランや「海外人材直接招致メカニズム」など政策環境整備の結果、「中国で最も優れた人材招致都市」や「外国人材が選ぶ最も魅力的と感じる中国都市」に連続で選ばれている。

成都市の経営環境整備は、ロバート夫妻の会社にもチャンスをもたらした。ロバートさんは、現在までに1万人以上の海外人材の就職を支援していると話す。

彼は「ますます多くの外国の友人が成都を訪れるようになり、成都を好きになっている。またわが社は、成都の地元の人材が海外へ羽ばたくことも支援し、双方向の交流を実現する計画も持っている」と語った。

オーストラリア系の医療機器(人工内耳)メーカー「科利医療器械」の成都の生産拠点では、中国地域事業を統括する李新宇(Li Xinyu)総経理が、工場で人工内耳製品の生産状況を視察していた。

この医療機器メーカーの生産拠点が2017年9月、四川天府新区で認可された。成都工場は同社が海外に持つ唯一の人工内耳生産拠点である。生産棟の建設や機器設備の導入に約8700万米ドル(約128億5425万円)を投じ、21年に正式操業を開始した。

なぜ成都を選んだのか。李氏はこの問いに対し「成都は交通網が発達し、また『一帯一路(Belt and Road)』共同建設の重要な接合点に位置する国際的なハブだ。人工内耳の生産に必要な部品は鉄道や航空便で、低コストで効率的な輸送ができる」と答えた。

また李氏は「ハード面(インフラ)のつながりだけでなく、ソフト面(サービス・経営環境)のつながりもあった。プロジェクトの建設と運営の全ての段階で、関係各方面の心のこもった誠意を感じた。プロジェクトが具体化した後、天府新区の関連部門は『一対一』のサービスを提供し、ニーズにマッチした支援政策を積極的に提供してくれた」と付け加えた。

さらに、成都には電子科技大学(UESTC)などの高等教育機関・研究機関があり、多くの専門人材が蓄積されているほか、数十のトップクラスの総合病院(三甲医院)があり、同社と医療機関との協力に幅広い可能性があることも、成都に立地した動機だとしている。

同社の生産拠点の操業開始後、交通の利便性のメリットがさらに際立ったという。

李氏は「成都の2つの国際空港を通じて、製品を国内各都市や東南アジアなどに容易に輸送できる。また税関など関係部門の調整と支援で、従来は半月ほどかかる製品の通関時間がわずか1日に短縮され、物流コストも大幅に削減された」と話す。

交通網が発達し環境にも優しく開放的な成都市の環境が、外資の継続的な流入を促している。昨年、成都国際航空ハブの旅客取扱量は延べ8700万人を突破し、貨物取扱量は100万トンを超えた。今年1~4月期、成都の外国直接投資誘致額は6億5600万米ドル(約969億2400万円)に達し、中西部都市で首位を維持している。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews