韓国で大きく揺らぐ「偉大な国家」米国への視線 [韓国記者コラム]
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【09月24日 KOREA WAVE】「もう米国に残って働きたい人間はいないだろう。こんな騒ぎを経験して、なお再び米国に行く人がいるのか」
米国で拘束から解放され、帰国した40代の韓国人設備エンジニアは仁川空港で、取材にこう答えた。
米国移民税関捜査局(ICE)が米ジョージア州の現代自動車グループとLGエナジーソリューションの合弁バッテリー工場建設現場を急襲し、韓国人約300人を含む475人を一斉拘束した事件は、多くの韓国人に衝撃を与えた。拘束された技術者らは短期商用ビザ(B-1)を提示したにもかかわらず、銃を突き付けられ、手錠や鎖、足かせまでかけられた。「まるで重犯罪者扱いだった」。こんな証言もある。
韓国国内では、トランプ米大統領の2期目就任後から高まっていた「米国は本当に同盟国か」という不信感が、この事件で確信に変わったとの声が広がった。仁川空港の到着ロビーでは、ICE隊員に扮したトランプ氏の風刺ポスターを掲げる市民もいた。
ICEは拘束翌日の9月5日、公式サイトに現場写真や映像を公開した。米国土安全保障捜査局(HSI)も記者会見を開き、大規模摘発を不法移民対策の成果として喧伝した。
トランプ大統領は「当局が職務を果たした」と支持を表明した。
しかし拘束されたのは移民労働者ではなく、米国に新たな雇用を生み出すために派遣された短期滞在の技術者だった。予定通り10月に工場が完成していれば、2031年までにジョージア州で8500人分の雇用が生まれるはずだった。
批判の高まりを受け、トランプ大統領は9月14日に「外国企業とその従業員を歓迎する」とSNSで火消しを図ったが、拘束時の屈辱的な体験は簡単に消えるものではない。
今回の事態の後始末は韓国企業に委ねられた。往復チャーター機の費用や従業員の有給休暇補償など数十億ウォンが追加負担となり、心に刻まれたトラウマの代償まで含めれば損害は計り知れない。
拘束から解放された技術者の言葉通り、韓国人労働者の間には「米国にはもう行きたくない」という思いが強く残った。米国を「偉大な国家」と信じてきた人々の視線は、大きく揺らいでいる。【news1 キム・ソンシク記者】
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News