北京の老舗百貨店が「都市の庭園」に再生
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【9月23日 CNS】「北京には似たような施設はいくつもあるけれど、長安街にある友誼商店がどう変わったのか気になって来てみました。長安街というとどうしても堅いイメージがあるので、ここでリラックスできる雰囲気が出せるのか興味があったんです」――来場者の李維亜(Li Weiya)さん(仮名、50歳前後)はそう話す。
北京市・長安街の東側に立つ「北京友誼商店」が改装を終え、オープンな休憩空間「友誼花園」として新たに生まれ変わった。いまでは人気の「映えスポット」として、多くの人が訪れている。
1964年に開業した友誼商店は、新中国成立後、国内初の外貨専門小売店だった。1980年代には、外国人や出国者、その家族のための高級ショッピングスポットとして知られ、外貨券を手にここで買い物をすることが当時のステータスとなっていた。だが改革開放が進み、消費スタイルが多様化するにつれ往時の賑わいを失い、経営難に陥った。
転機となったのは2024年の改装プロジェクトだ。北京友誼商店の劉杰総経理によれば、当初から「閉ざされた後庭を開放し、憩いの場にする」ことを決めていたという。中心に広い芝生を敷き、従来の商場の枠を超えた「庭園型」の空間に改造。緑豊かな芝生が都市のオアシスのように落ち着いた雰囲気を生み、「昼はカフェ、夜はバー」という新しい過ごし方を提案している。
デザインでは歴史を尊重し、建物を壊さずにリノベーション。後庭の9棟は、それぞれの個性を活かしつつ、カフェ、クラフトビールバー、ベジタリアンレストラン、火鍋店などへと姿を変えた。
業態も大きく刷新され、飲食店やカフェに加えて、ユースホステル、健康診断センター、リサイクルショップなどが入居。中でも3階にできたブランドリユース店「超級転転」には多くの客が足を運んでいる。現在も複数の店舗が開業準備中で、9月には全面稼働となる予定だ。
入居したレストラン「DuLi度粒」の共同経営者・辺忭(Bian Bian)氏は「新しい施設は集客力はあるが、将来性は業態の多様さ次第。飲食店ばかりでは『復活』したとは言えない」と語る。
現在、友誼花園には24の新規ブランドと6つのリニューアルブランドが入り、そのうち21は北京初出店またはコンセプトショップだ。飲食、娯楽、買い物、医療、展示、宿泊を網羅し、複合的な都市型レジャー施設を目指している。
試験営業を開始した5月には、週末・祝日の平均来場者数が5000人に達し、端午節(5月31日~6月2日)の売上は500万元(約1億349万円)を記録した。
また、友誼花園は最近の北京「シティウォーク」人気ルートの一部にも組み込まれている。友誼商店を出発し、第一使館区を抜け、皇帝の祭祀が行われた日壇公園、若者向け商業施設「The Box」を経て、道教最大級の宮観・東岳廟へと至るコースで、歴史と現代、東洋と西洋が交差する散策を楽しめる。(c)CNS/JCM/AFPBB News