【9月20日 AFP】バルト3国のエストニアは19日、ロシア軍のミグ31戦闘機3機が同日、バルト海のフィンランド湾で、12分間にわたりエストニア領空を侵犯したと発表した。欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)は新たな危険な挑発行為として抗議したが、ロシアはこれを否定した。

エストニアのイタリアの当局によると、NATOの防空支援任務でバルト3国に展開していたイタリアのF35戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応した。NATOのマルク・ルッテ事務総長は「迅速かつ断固たる対応」を称賛した。

欧州連合軍最高司令部(SHAPE、シェイプ)の報道官は記者団に対し、スウェーデンとフィンランドの軍用機もスクランブルで対応したと述べた。

エストニアは直ちに、NATO加盟国との緊急協議を要請した。NATOはブリュッセルでAFPに対し、協議は「来週初め」に実施される可能性があると述べた。

ロシアによる領空侵犯疑惑は、NATO東方前線の緊張が高まる中で発生した。ポーランドは先週、ロシアの無人機約20機による領空侵犯を受けたと訴えたが、ロシア側はポーランドを標的としたものではないと否定している。

エストニア国防軍は、「ロシアのミグ31戦闘機3機がバインドロー島付近で、約12分間にわたりエストニア領空を侵犯した」「3機の飛行計画はなく、トランスポンダーは切られていた。領空侵犯当時、エストニアの航空管制局との双方向無線通信も行っていなかった」と述べた。

NATOのアリソン・ハート報道官は、「ロシアの無謀な行動とNATOの対応能力を示す新たな例」と呼んだ。

これに対しロシア国防省は、3機はフィンランドと国境を接するロシア・カレリア共和国から、リトアニアとポーランドに囲まれたロシアの飛び地カリーニングラードへ向かう「定期飛行」中だったと説明。

「飛行中、ロシア機は合意された経路から外れておらず、エストニアの領空も侵犯していない」「バインドロー島から3キロ以上離れたバルト海の中立水域」上空を飛行していたと付け加えた。(c)AFP