中国港湾経済の強靭な成長力
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【9月24日 People’s Daily】渤海(Bohai Sea)のほとり、天津港を中心として、港湾の「価値の半径」が絶えず拡大を続けている。
港湾区域には岸壁クレーンが林立し、巨大な船舶が接岸している。スマート管制システムとAI運搬ロボットが効率的に連携し、荷役作業が活発かつ秩序立って進み、1日平均の貨物取扱量が150万トンを超えている。
数十キロ離れた場所にある「濱海新区」には、「海馬生物科技」や「首衡集団(Sunhola)」などの貿易企業が相次いで進出し、ラテンアメリカ直航便を利用して、輸入果物の「甘い」サプライチェーンが急速に整備されている。
今年1~5月、天津港のラテンアメリカ地域からの果物と水産品の輸入額は81億元(約1670億2200万円)に達した。
天津市(Tianjin)中心部の和平区では、次々に成立する「クロスボーダー貿易融資」が国際海運事業に金融という「活力の水」を注ぎ続けている。海運物流を基盤に金融サービスが拡大され、同区では現代サービス業が占める割合が98%を超えている。
天津港の発展は、中国港湾経済の力強い成長の縮図となっている。交通運輸部計画研究院がこのほど発表した「2024年度中国海港城市港湾経済発展報告」(以下「報告」と略す)によると、24年に中国の海港都市における港湾経済の付加価値額は6兆7000億元(約138兆1540億円)に達し、前年比3606億元(約7兆4356億円)の増加となり、その増加率は前年を上回った。
計画研究院の劉占山(Liu Zhanshan)副院長の説明によると、海港都市の「港湾経済」とは、港湾を中心とし、港湾都市を「担体(たんたい、受け皿)」として、港湾の各種産業に依拠し利用する関連経済活動の「総和」であり、港湾・産業・都市が相互に連携し、有機的に結合し、共同で発展する「開放型経済」である。
データによると、沿海港湾の货物1万トン取扱量あたり、約194万元(約4000万2800円)のGDPを創出できる。また、港湾建設への資金投入1億元(約20億6200万円)当たり、約1万人の雇用を実現できる。24年末現在、中国の港湾における万トン級以上のバース数は2971か所に達し、10年前の約1.4倍となった。
国内最大の太陽光発電のLNG船「遠海口」号が5月15日、広州南沙港で命名・引き渡しされ、約4000台の国産自動車を積載し、欧州諸国へと向かった。
自動車が広州で船積みされ海上輸送されることは、今や多くの自動車メーカーにとって「最適ルート」となっている。04年の広州港の自動車取扱量は1万5000台だったが、24年には完成車取扱量が年間140万台を超えた。20年で約100倍に成長した華南地域最大の完成車ハブ港は、新エネルギー車産業の急速な発展を目の当たりにしてきた。
時が経つにつれ、港湾の货物の構造は変化したが、産業のアップグレードという方向性は一貫して変わらない。「報告」によると、24年、海港都市における第一次産業、第二次産業、第三次産業に占める港湾経済の割合はそれぞれ15%、22%、8%に達し、港湾が第一次産業と第二次産業に対してより顕著な支えとなっている。
劉副院長は「第二次産業内では、コンピュータ通信・その他の電子設備製造業、化学原料・化学製品製造業などの戦略的新興産業において港湾経済の成長が比較的速く、第二次産業の増加分に占める比重はそれぞれ15.9%と12.7%に達している。これは、港湾が内陸地域の産業の変革と高度化を促進する上で重要な役割を果たしていることを示している」と指摘する。
また、港湾経済の発展は、港と都市の共生と相互作用を映し出している。
夏を迎えた山東省(Shandong)日照市(Rizhao)の海竜湾ではそよ風が頬をなでる。全国初の「港湾から都市への転換」修復プロジェクトとして、海竜湾はかつての真っ黒な石炭置き場から、きれいな道と美しい水の新しい港湾へと生まれ変わった。
日照港の関係者は「我々は石炭作業区域を街から移転させ、1882メートルの生態海岸線を修復し、約46万平方メートルの砂浜を新たに造成した」と紹介した。今では港湾が観光名所に変わり、多くの観光客が訪れて記念写真を撮っているという。
「前港後廠(港を前にしてその後ろに工場を配置)モデル」に基づき、日照港は食糧物流、倉庫保管、飼料加工をカバーする産業チェーン・サプライチェーンを形成し、山東省(Shandong)、河南省(Henan)、陕西省(Shaanxi)、四川省(Sichuan)などの産業に広範囲に影響を及ぼし、中糧集団(COFCO)、中儲糧集団(Sinograin)などの企業プロジェクトの誘致を実現した。
現在、日照市の臨港産業の「生産額」は、同市における「一定規模以上(中国の統計で使われる『年間売上額2000万元(約4億1222万円)以上』の規模)の工業企業の総生産額」の85%以上を占めている。
「港で都市を興し、都市で港の発展を促す」、計画研究院の「報告」によると、近年、海港都市の港湾経済の発展規模は持続的に拡大し、港湾が都市の経済・社会発展に及ぼす牽引効果は一層鮮明になっている。
天津港では147のコンテナ航路が世界500以上の港湾とつながっており、天津市全体の海洋経済規模は4000億元(約8兆2480億円)を突破した。煙台港(Yantai Port)では「港湾サプライチェーン総合サービス園区」の建設が急ピッチで進められており、従来の港湾作業区域が現代的な「港湾・海運サービス業集積区域」にアップグレードされ、都市発展への融合が、さらに進む見込みだ。
数多くの世界的競争力を持つ現代的な港湾が、中国経済の高品質な発展へと向かう重要な支点となりつつある。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews