【9月12日 CNS】近ごろ、中国伝統芸術の京劇と世界的に人気のファンタジー作品『ハリー・ポッター(Harry Potter)』が、北京の繁華街「三里屯」で異色のコラボレーションを披露した。商業エリアの一角で、京劇役者が『ハリー・ポッター』の登場人物に扮し、京劇ならではの演出で名場面を再現するフラッシュモブが行われ、多くの人々の注目を集めた。

三里屯の商業施設前では、「スネイプ教授」に扮した京劇俳優がトレードマークの黒髪をなびかせ、黒いローブをまとい、指先を遠くに突きつける。スネイプ教授は京劇特有の張りのある歌声と抑揚豊かな台詞で、ハリーがホグワーツ入学通知書を受け取る場面を熱演した。グリフィンドールのローブを着た楽師たちは京胡や月琴などの伝統楽器を奏で、中国的な旋律と魔法の世界が違和感なく溶け合い、幻想的な雰囲気を作り出した。

「今日はハリー・ポッターのイベントがあるのは知っていたけれど、京劇まで観られるとは思わなかった。とても斬新で面白くて新鮮だ」と蒋明(Jiang Ming、仮名)さんは話した。会場は観客で埋め尽くされ、スマートフォンを掲げて撮影する姿があちこちで見られた。

今回の京劇版『ハリー・ポッター』フラッシュモブには三人の京劇役者が出演した。スネイプ教授のほか、マクゴナガル教授とダンブルドア校長も登場。マクゴナガル教授は緑のローブに身を包み杖を手にし、ダンブルドア校長は白髪に長い髭をたくわえ、京劇の名作『趙氏孤児』や『覇王別姫』の曲調を取り入れて『ハリー・ポッター』を新たに表現した。演目は10分ほど続いたが、観客はまだ見足りない様子だった。
京劇で西洋の物語を表現するという新しい試みは、中国のインターネット上では以前から人気を集めていた。中国の動画サイトビリビリ動画(bilibili)で「京劇 ハリー・ポッター」と検索すると、「ダンブルドアの遺児託し」「ハリーが夜に魔法石を取りに行く」「ヴォルデモートの分霊箱」など、京劇風にアレンジされた多彩な映像が見つかる。近年、ネットで広まり注目を集めた結果、西洋作品を京劇に取り入れることは文化融合の象徴として話題となり、今回の京劇版『ハリー・ポッター』はネット上の二次創作から実際の舞台へと発展した。

『ハリー・ポッター』が京劇化されたのは今回が初めてではない。2014年には「三堂会審ガリレオ」というユニークな京劇作品が観客の目に留まり、その後も『パイレーツ・オブ・カリビアン(Pirates of the Caribbean)』や『ロード・オブ・ザ・リング(The Lord of the Rings)』といった外国映画を題材にした京劇が数多く制作され、再生数や好評を集めてきた。

さらに、日本のアニメ『名探偵コナン』も京劇にアレンジされている。ビリビリ動画では、ある投稿者が『名探偵コナン』の人気エピソードを題材にした京劇シリーズを公開しており、いずれも数万件の「いいね」を獲得している。視聴者からは「ただ面白いだけでなく芸術性が増して、より哀切な感じが出る」「物語を知っているから、京劇に馴染みがなかった人でも楽しめる」といったコメントが寄せられている。

観客からの称賛だけでなく、創作側にとっても京劇という中国の伝統芸術の生命力を示す機会となっている。マクゴナガル教授を演じた俳優は「演じる前に『ハリー・ポッター』の物語をしっかり理解しました。その方がキャラクターを生き生きと表現できるからです。今回の改作京劇の経験はとても楽しく、若い人が『ハリー・ポッター』をきっかけに京劇を好きになってくれたら嬉しいし、京劇がもっと多くの人に広がるきっかけにもなると思います」と語った。(c)CNS/JCM/AFPBB News