所在不明となっていたルーベンス作品、パリの邸宅で発見
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【9月11日 AFP】17世紀のフランドルの巨匠、ピーテル・パウル・ルーベンスによる長らく所在不明だった絵画作品がパリの邸宅で発見されたと、フランスのオークション主催者が10日に発表した。
発見されたのは、1613年に描かれた十字架にかけられたイエス・キリストを描いた作品であり、オークションハウス代表ジャン=ピエール・オセナ氏はAFPに対し「傑作であり、才能の絶頂期に描かれたものだ」と語り、状態は「非常に良好」であると述べた。
オセナ氏によれば、この絵画は2024年9月、パリ6区の高級邸宅を売却する準備をしていた際に発見された。
真贋(しんがん)は、フランドル・バロックの研究で知られるドイツの美術史家ニルス・ビュットナー氏が鑑定し、X線撮影や顔料分析などによってその由来が立証された。
オセナ氏はまた、この作品が「信仰の真の告白であり、もとプロテスタントでカトリックに改宗したルーベンスが好んだ主題」であり、「バロック絵画の初期を示す非常に稀なもので、十字架にかけられたキリストが暗く脅威的な空の前で孤立し、光を帯びて鮮やかに浮かび上がっている」と述べた。
ルーベンスは教会のために多くの作品を手掛けたが、この新たに発見された作品(サイズ:縦105.5センチ×横72.5センチ)は個人コレクターのために制作された可能性が高いとされる。
かつて19世紀のフランスのアカデミック美術を代表する画家、ウィリアム=アドルフ・ブグローが所有していたと推定され、その後、発見されたパリの邸宅所有者の手に渡った可能性がある。
この絵画作品は11月30日にオークションにかけられる予定。(c)AFP