■「彼は後ろに倒れた」

イベントに出席していたユタ州選出のジェイソン・チャフェッツ元下院議員はFOXニュースに対し、カーク氏が質疑応答を行っていたさなかに銃撃が起きたと語った。

チャフェッツ氏は明らかに動揺した様子で、「最初の質問は宗教に関するものだった。カーク氏は15~20分対応した。興味深いことに、2番目の質問はトランスジェンダーの銃撃犯や銃乱射犯に関するものだった。そして、そのさなかに銃声が鳴り響いた」と語った。

「銃声が鳴るやいなや、彼は後ろに倒れた」「皆が床に伏せ、多くの人が叫び声を上げ、そして皆が逃げ始めた」と続けた。

ソフィー・アンダーソンさん(45)は英紙デーリー・メールに対し、ステージから30メートルほど離れた場所に立っていたが、音を聞いた瞬間に銃声だと分かったと語った。

「カーク氏は首を撃たれて倒れ込み、血が噴水のように噴き出していた」と続けた。

カーク氏は米国政治において並外れた影響力を持ち、若年層の間でトランプ氏支持を拡大するのに貢献し、昨年の大統領選での勝利の立役者となった。

カーク氏は持ち前のショーマンシップで、2012年に若者の間で保守的な考え方を広めることを目的とした保守系団体「ターニング・ポイント」を共同設立。テレビやイベントにおいて、若手保守派の頼れるスポークスマンとなった。

インスタグラムとユーチューブで膨大な数のフォロワーを獲得し、反移民政策、率直なキリスト教信仰、銃の所有に対する支持を募り、数々の大学イベントでの討論会で交わしたやり取りを丹念に編集した動画を拡散させた。

カーク氏の大学での講演活動は、高等教育に広く浸透しているリベラルな見解とは対照的だと右派からは歓迎されたが、激しい反発も招いた。

銃撃事件のニュースは、党派を問わず政界全体に恐怖をもたらした。

J・D・バンス副大統領はソーシャルメディアに、「神様、チャーリーの最も困難な時に彼をお守りください」と投稿し、自身とカーク氏、トランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が並んだ写真を添えた。

右派メディア関係者のトミ・ラーレン氏は、カーク氏を「先見の明がある人物」と評した。

左派も銃撃を非難し、冷静さを求めた。

ジョー・バイデン前大統領はX(旧ツイッター)に、「わが国でこのような暴力は許されない。今すぐ終わらせなければならない」と投稿した。

カーク氏のような右派の人物としばしば対立してきたカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事も、今回の銃撃を「忌まわしく、卑劣で、非難に値する」と非難した。

カマラ・ハリス前副大統領も「米国で政治的暴力は許されない」と述べた。

自身も暗殺未遂事件を生き延びた民主党のガブリエル・ギフォーズ元下院議員は、今回の銃撃に「恐怖」を覚えたと述べた。

「民主主義社会には常に政治的見解の相違が存在するが、米国はそうした相違を暴力で解決する国になってはならない」と続けた。(c)AFP