中国、台湾EEZ内に構造物設置 ハイブリッド戦争の一環か
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【9月4日 AFP】台湾は3日、中国が台湾の排他的経済水域(EEZ)内に石油・ガス掘削装置(リグ)などの構造物を設置したのは国際法違反だと非難した。
米シンクタンクが報告書で、中国国有エネルギー大手「中国海洋石油集団(CNOOC)」が、係争地東沙(プラタス)島付近の台湾がEEZだと主張する海域に12の構造物を設置していると指摘されたのを受けたもの。
台湾は南シナ海北部に位置する東沙島を実効支配しているが、中国も同島および南シナ海の大部分の領有権を主張している。
台湾総統府は声明で、「中国は近年、韓国、日本、わが国(台湾)、そして南シナ海周辺諸国のEEZおよび大陸棚に石油・ガス掘削装置などの固定構造物を設置している」と述べた。
「これは、海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)などの国際法規範に違反するだけでなく、国際秩序を著しく損ない、地域の安定に不確かなリスクをもたらす」として、中国に対し違法行為を「直ちに停止」するよう求めた。
台湾はバチカンを含む12か国に国家承認されているが、国連加盟国でも、UNCLOS締約国でもない。
米シンクタンク「ジェームズタウン財団」が2日公表した報告書によると、中国海洋石油集団は東沙島沖に「掘削装置7基、浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備3基、半潜水式石油プラットフォーム2基」を設置した。
米海軍大学校中国海事研究所のアンドリュー・エリクソン教授が筆頭著者を務めた同報告書によると、中国は7月、半潜水式石油プラットフォームの1基を、「台湾がEEZだと主張する海域の奥深く」、東沙島の制限水域から約48キロの距離に移動させた。
報告書は「石油掘削装置は現在、認知戦、法律戦、経済戦を含む、台湾の主権を弱体化させることを目的とした中国の多元的戦争(ハイブリッド戦争)の一角を成している」と指摘。
これらの構造物は「少なくとも2020年5月以降」同海域に存在しており、東沙島または台湾本島に対する封鎖、砲撃、あるいは侵攻の「足がかり」として使用される可能性がある。(c)AFP