イスラエル極右閣僚がヨルダン川西岸の併合主張、UAEは「レッドライン」と反発
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【9月4日 AFP】イスラエルの極右ベツァレル・スモトリッチ財務相が3日、複数の国がパレスチナの国家承認を示唆する中、占領下のヨルダン川西岸の広範囲にわたる併合を呼びかけた。
これを受けて、イスラエルを承認している数少ないアラブ諸国の一つであるアラブ首長国連邦(UAE)の高官は、併合は同国にとって「レッドライン」だと述べた。
同国外務省のラナ・ヌセイベ政務担当補佐官は、併合は2020年に締結されたアブラハム合意を「深刻に損なうことになる」と述べた。
ヌセイベ氏はAFPにあてた声明で、当初から「合意をパレスチナ人の国家権利への支援を継続する手段と見なしてきた」とし、「イスラエル政府内で議論されているという西岸の併合案は、あるイスラエル閣僚の言葉を借りれば『パレスチナ国家の構想を葬る』試みの一部である」「ヨルダン川西岸の併合は、UAEにとってレッドラインとなる」と続けた。
ベルギーは2日、西側諸国としてはオーストラリアやカナダ、フランスに続いて、今月の国連総会でパレスチナ国家を承認する意向を示した。
スモトリッチ氏は「ユダヤ・サマリア(イスラエルが1967年以降占領しているヨルダン川西岸の一部地域を指す呼称)にイスラエルの主権を適用する時が来た」と述べ、「われわれの小さな土地を分割し、その中心にテロ国家を設立するという考えを完全に議題から排除するものだ」と続けた。
また同氏は国連総会を、パレスチナ自治政府(PA)によるイスラエル国家を害する試みだと表現し、「ユダヤ・サマリアにおける主権適用は、われわれに対して計画されている政治的攻撃、そしてわれわれの存在と子どもたちの未来を危険にさらす試みに対する予防措置である」と述べた。
ヨルダン川西岸の都市部で限定的な自治権を持つパレスチナ自治政府は、スモトリッチ氏の併合要求に対し即座に非難を表明。外務省は「極端な立場を取るスモトリッチ大臣による発言と姿勢、特に入植活動の強化と占領地の併合を扇動する呼びかけを、最も強い言葉で非難する」と述べた。(c)AFP