イランの死刑執行、2025年に入ってから少なくとも841件 国連
このニュースをシェア
【8月30日 AFP】国連は29日、イランで今年に入ってから8月28日までに少なくとも841件の死刑執行が確認されたと明らかにし、「死刑を国家による脅迫の手段として組織的に利用している」と非難した。2025年上半期、執行数が「大幅に増加」したという。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のラビナ・シャムダサニ報道官はスイス・ジュネーブで記者会見し、「イラン当局は今年に入ってから少なくとも841人を処刑した」と発表。「透明性が欠如していることを考えると、実態はさらにひどい可能性もある」と付け加えた。
イランでは7月だけで少なくとも110件の死刑が執行された。2024年7月の執行数の2倍に当たるという。
シャムダサニ報道官は「死刑執行件数の多さは、死刑を国家による脅迫手段として組織的に利用し、少数民族や移民を不当に標的にしていることを示している」と指摘し、アフガニスタン人、バローチ人、クルド人、アラブ系住民の死刑執行を例に挙げた。
今年上半期、少なくとも289人が麻薬関連の罪で死刑を執行された。
シャムダサニ報道官は、複数の国で見られるこの傾向は、政府が治安維持への脅威を感じると、ますます抑圧的になり、反対意見への寛容さを失っていくことを示していると述べた。
■子どもの前で公開絞首刑
シャムダサニ報道官は特に、イランが公開処刑を実施している点を批判した。OHCHRは今年、公開処刑を7例確認しており、中には子どもたちの目の前で執行されたものもあったとされる。
OHCHRは、死刑事件における適正手続きに深刻な懸念があると主張。
シャムダサニ報道官は「われわれが特に懸念しているのは、これらの死刑判決の多くが、神への敵意など曖昧な法律に基づいて下されていることだ」と述べた。(c)AFP