【8月29日 AFP】英国、フランス、ドイツの3か国は28日、イランが10年前に合意した核計画に関する義務を守らなかったとして、国連制裁を再発動する手続きを開始した。

イラン側はこの動きに対して「適切に対応する」と警告を発しており、イラン核危機の平和的解決に向けて長らく続いた外交努力の終わりを招く可能性がある。

米国はこの措置を歓迎しつつ、1979年のイスラム革命以降外交関係を断絶しているイランとの「直接的な関与」への準備ができていると強調した。

AFPが確認した書類によると、3か国は国連の安全保障理事会に対し、イランが2015年の核合意における義務を「著しく履行していない」と考えていると通知。英仏独の外相は、制裁の再発動を可能にする「スナップバック」の手続きを開始した。「スナップバック」の発動期限は、10月18日に迫っていた。

外交筋によると、英国、フランス、米国が中国、ロシアとともに常任理事国を務める国連安保理は、29日にイランについての議論を行うための会合を予定しているという。

ロシアのドミトリー・ポリャンスキー国連副大使は28日、記者団に対し、欧州諸国の動きは「全く法的な効力を持たない」と述べている。

この20年間、欧州諸国はイランが原子力エネルギー計画を装って核兵器を開発しようとしているのではないかと懸念しているが、イランはこの疑惑を強く否定している。

国連のアントニオ・グテレス事務総長の事務所は同日、イランと主要国に対し、この機会をとらえて合意を結ぶよう促しており、同氏の広報担当官は「今後30日間は、さらなる緊張の悪化を避け、平和に貢献する道を見いだすための絶好の機会」だと述べている。(c)AFP