【8月25日 AFP】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の村で24日、イスラエルのブルドーザーがオリーブの木を中心に数百本の木を根こそぎ引き抜き、除去した。現場にはイスラエル軍が立ち会っており、AFP記者が確認した。

現場はラマラ近郊のアル・ムガイール村。オリーブの木は西岸の経済と文化にとって重要な存在だが、長年にわたり、農民と侵入してくるイスラエル人入植者の間で衝突の火種にもなってきた。

地元農家のアブデラティフ・モハメド・アブ・アリヤさんは、約1ヘクタールの土地にあった樹齢70年以上のオリーブの木を失った。

アリヤさんはAFPに「偽りの理由を掲げて完全に根こそぎにした」と話し、住民らは引き抜かれた木の植え直しをすでに始めていると説明した。

AFPのカメラマンは、掘り返された土地や倒れたオリーブの木、村を囲む丘で作業する複数のブルドーザーを確認した。

1台のブルドーザーにはイスラエル国旗が掲げられ、近くにはイスラエル軍の車両も停まっていた。

地元の農業協会の代表は「目的は支配と住民の追放だ。これは始まりにすぎず、西岸全域に広がるだろう」と訴えた。

住民によると伐根作業は21日に始まった。パレスチナのNGOによると、この3日間で村では14人が逮捕されたという。

イスラエル軍は24日夜、「村近くで深刻な銃撃事件があったことを受け、地域で集中的な作戦を開始した」とAFPに説明した。

■「重い代償」

イスラエル軍は22日の声明で、アル・ムガイール村の男性を「近隣で発生したテロ攻撃の首謀者」として逮捕したと発表した。

同村では18日、18歳の男性がイスラエル軍に射殺されたとパレスチナ自治政府が発表している。イスラエル軍は「テロリスト」による投石に対応したと認めたが、死亡した男性との関係には言及しなかった。

また、22日にイスラエル・メディアで広く報じられた動画では、軍の上級司令官がアル・ムガイール村での攻撃に言及し、「イスラエルへの攻撃には、すべての村とすべての敵が重い代償を払うことになる」と発言している。

パレスチナ自治政府のデータに基づくAFPの集計によると、イスラム組織ハマスによる23年10月7日の越境攻撃以降、西岸では戦闘員と民間人を含む少なくとも971人がイスラエル兵または入植者に殺害されている。

一方、イスラエル側では同期間に民間人と兵士を含む少なくとも36人が、西岸での攻撃や軍事作戦で死亡した。

1967年からイスラエルの占領が続くヨルダン川西岸には、約300万人のパレスチナ人と、国際法で違法とされる入植地に暮らす約50万人のイスラエル人が居住している。(c)AFP