【8月25日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は24日、犯罪や移民の取り締まりを拡大すべく、民主党が主導権を握るメリーランド州ボルチモア市に州兵を派遣すると示唆した。

共和党のトランプ氏はオンライン上で「制御不能で犯罪まみれの都市」とボルチモアを非難。メリーランド州のウェス・ムーア知事をはじめとする民主党の各州指導者たちは、注目度の高い政治の舞台でトランプ氏を厳しく批判している。

トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「ウェス・ムーアが助けを必要としているなら」、ボルチモアに州兵を送ると述べた。

黒人であるムーア氏とトランプ氏の対立は今週に入り激化。ムーア氏が州兵派遣という挑発的な提案を非難する中、トランプ氏はムーア氏を「意地悪」と呼び、崩落したフランシス・スコット・キー橋の修復に充てられる連邦資金の撤回を示唆している。

ムーア氏はこの日、米CNNのインタビューで、トランプ氏にボルチモアの街を一緒に歩くよう招待したと述べ、トランプ氏の「無邪気な無知、ステレオタイプ、そして1980年代のような脅し文句」に対抗するためだと語った。

トランプ氏は、「彼(ムーア)がこの犯罪の惨状を片付けてくれるなら、私は『散歩』に行ってもいい」と述べ、ムーア氏の「非常に悪い」犯罪対策の実績を批判した。

一方ムーア氏は知事就任以来メリーランド州の殺人発生率が20%以上減少しており、「ボルチモア市の殺人率がこれほど低かったのは、私が生まれる前のことだ」と反論している。

今月、トランプ氏は首都ワシントンに州兵を派遣し、その警備を連邦政府が掌握するかのようなこの行動は広く批判を浴びた。また6月には、移民取り締まりに対する抗議活動を鎮圧する名目で、ロサンゼルスに約5000人の州兵を派遣したことで、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が反発している。

トランプ政権はシカゴにも数千人規模の州兵を前例のない形で派遣する計画を進めており、同市の民主党関係者からも強い反発が起きている。(c)AFP