【9月12日 People’s Daily】中国各地に、風力発電の「巨人」たちがそびえ立つ。風が吹くと、数十メートルから百メートルもの長さで、重量が数トンにもなる風車のブレードが滑らかに回転し、空気からエネルギーを「捕獲」する。この動きを支えているのが、一組のベアリングだ。

「洛陽ベアリング集団(LYC Bearing Group)」の技術センターエンジニア・劉好潔(Liu Haojie)氏は「かつて、ある国内の大型風力発電企業が沿岸部に風力発電設備を設置する計画を立てた時、従来の経験から海外製品を優先的に選んだことがあった。しかし、海外メーカーがその開発任務を達成できなかったのに対し、我々は業界唯一の『航空精密ベアリング国家重点実験室』を拠点にして、短期間で当時世界最大出力の風力発電用メインベアリングを開発し、多くの重要な指標で世界トップレベルを達成した。この16メガワットの風力発電のメインベアリング開発のエピソードは、チーム全員の誇りであり、このベアリングを採用した風力発電設備は、当時の世界記録となる単日発電量を樹立し、また幾多の台風にも耐え、今も正常に稼働している」と語った。

ベアリングは、「工業の関節」と呼ばれている。回転を必要とするほぼ全ての機器や製品に使用されている。海外の設備に依存し、手作業で初歩的なベアリングを作っていた時代から、70年以上の歴史を持つ「洛陽ベアリング集団」は現在、9大カテゴリー3万種類以上の製品を生産し、天に昇り地に潜り、川を渡り海をも越える「中国製造」の重要な支えとなっている。

洛陽ベアリング集団の発展は、中国国産ベアリングの飛躍的な進歩を象徴している。中国ベアリング工業協会のデータによると、昨年のベアリング業界の営業収入は2315億元(約4兆7504億円)で過去最高を記録し、前年比6.2%増加。ベアリング生産量は337億セットで、前年比17.3%増加した。

業界の主要160社の統計によると、今年第1四半期は、ベアリング業界の工業総生産額は253.97億元(約5211億4644万円)で前年比11.14%増、工業付加価値額は76.31億元(約1565億8812円)で前年比10.97%増となった。

精密なマイクロ機械から巨大な重型設備まで、ベアリングはあらゆる場所で活躍している。国産ベアリングは、ロー・ミドルエンドの製品や同レベルの製品の過当競争から脱却し、近年高級化への道を力強く歩んでいる。

■「精密化」への挑戦

4月24日「長征2号F遥20(Long March 2F)」による「神舟20号(Shenzhou-20)有人宇宙船」の打ち上げで、国産ベアリングが再びその偉業を支えた。

ロケットにおいては「国機精工軸承研究所」が開発した三点接触ボールベアリングなどの部品が、ロケットの「動力の心臓」となるキーコンポーネントを構成し、安定した打ち上げを支えた。

有人宇宙船では、同研究所が宇宙船の駆動システム用に高精度・低騒音の自己潤滑ベアリングおよびそのコンポーネントを開発し、重要な回転機構の安定作動を確保した。

近年、国内ベアリングメーカーは神舟シリーズ宇宙船や長征シリーズロケットなどに、高品質で信頼性の高い製品を提供してきた。

「洛陽ベアリング集団」は「中国天眼」のフィードホーン(受信機)用ベアリングを製造し、世界最大・最高感度の「単一開口電波望遠鏡」の実現に貢献した。

また「長白山(Changbai Mountains)電波望遠鏡」で、極めて高い感度と指向精度を実現し、月面探査機の正確なナビゲーションを可能にした。

■「大型化」への進展

2023年3月、世界初の25メガワット級風力発電用メインベアリング及びギアボックスベアリングが「洛陽(Luoyang)軸研科技」で完成し、世界最大の風力発電用ベアリング単体容量記録を更新した。

輸入依存から技術的ブレークスルーを果たした中国は、超大型風力発電機のキーコンポーネントの独自開発・製造能力を確立し、風力発電のコア部品の自力供給とサプライチェーンの安全を実現した。
 
■「革新」への拡大

田植え踊り、ストリートダンス、マラソン、ネジ締めなど、人型ロボットのこういう「滑らかな」動作は、ベアリングがその回転を支え、摩擦を軽減することで実現している。

「洛陽鴻元ベアリング科技(Luoyang Hongyuan Bearing Technology)」の呉巧玲(Wu Qioling)総経理は「14年前、我々はゼロから学び、数多くの実験と改良を重ねて、ついにロボット用ベアリング技術のブレークスルーを果たした」と話す。同社は2020年以降、日本を含む海外市場への進出に成功している。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews