中国はなぜ発展途上国として今も脱炭素化を堅持するのか
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【9月11日 People’s Daily】現在、一部の先進国は脱炭素化を放棄している。中国は発展途上国として、なぜ依然として脱炭素化を堅持するのか?
その「直接的な理由」は、気候変動が人類の生存と文明の継続を脅かしているからだ。
温室効果を引き起こす二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素などは「温室効果ガス」と呼ばれる。「二酸化炭素削減」という文脈における「炭素」は、これら「温室効果ガス」を指している。国連の警告によれば、温室効果ガス排出量の増加は、異常気象の頻発や激化と明確な相関関係にあり、地球温暖化は明らかに加速している。
世界気象機関(WMO)のデータによると、2024年は記録上最も暑い年となり、極端な気象現象が世界中で頻発した。21世紀初頭と比べ、24年は月間降水量の新記録を更新する頻度が27%増加し、1日の降水量の新記録更新の頻度は52%増加した。
地球温暖化の影響は、どの国も例外なく受ける。中国でもその影響は顕著で、「中国気候公報」によると、24年の全国平均気温は摂氏10.9度で、51年以降で最高を記録した。高温日数は平年比6.6日増加し、61年以降で2番目に多い年となった。また平均降水量は697.7ミリメートルで、平年比9.0%増加した。これに伴う自然災害は農業生産に影響を及ぼし、人びとの生命と財産に深刻な脅威をもたらした。
そして、脱炭素化の「より根本的な理由」は、国際的な面と国内的な面の2つの側面が存在する。
まず国際的な面では、温室効果ガスの削減は、中国が大国としての責任を自覚し「人類運命共同体」の構築を推進するという緊急の必要性だ。
温室効果ガス削減は、中国が世界的な「グリーン・低炭素発展」のトレンドの中で戦略的な主導権を維持する上で不可欠なものだ。温室効果ガス削減の努力は、発展途上国の気候変動への対応能力を強化し、「人類運命共同体」の構築に貢献するものだ。
世界的な生態文明建設の重要な参加者、貢献者、リーダーとして、中国はグローバル環境ガバナンスに深く関与し、グローバル環境ガバナンス体系における発言権と影響力を絶えず強化している。中国は世界最大かつ最も完備した新エネルギー産業チェーンを構築し、23年に輸出された風力発電と太陽光発電製品だけで、他の国々の二酸化炭素排出量を約8億1000万トン削減する効果をもたらした。
次に国内的な面では、二酸化炭素排出削減は経済社会の「グリーン・低炭素転換」と持続可能な発展にとって有利に作用することだ。
炭素削減は生態環境の改善と、人間と自然の調和共生を促進する。中国はエネルギーの構造調整を積極的に推し進め、水力、原子力、風力、太陽光の電力生産量を大幅に増加させた。これにより、二酸化炭素排出量が削減されるだけでなく、PM2.5およびその他の汚染物質の排出も減少した。
15年から23年まで、中国の大都市圏におけるPM2.5の平均濃度は30%以上減少した。13年から22年にかけて、京津冀地域ではGDPが60%増加する一方で、PM2.5濃度は60%以上減少した。
二酸化炭素削減は、資源や環境の制約が引き起こす深刻な問題を打開し、持続可能な発展を実現するうえで有益である。中国は風力、太陽光、水力、バイオマス発電の設備容量が世界一だ。過去10年間で、石炭のエネルギー消費に占める割合は12.6ポイント減少した。
13年から23年まで、中国は年間平均3.3%のエネルギー消費増加率によって、年間平均6.1%の経済成長を支えた。23年、中国の再生可能エネルギーによる発電量は、社会総電力消費量の約3分の1を占めた。
二酸化炭素削減は、技術の進歩のすう勢に順応し、経済構造の転換とアップグレードを促進するものである。中国は鉄鋼の旧式な生産能力を1億5000万トン以上削減し、鉄鋼生産の全プロセスにおける「CO2超低排出改造」を1億3400万トン完了している。
世界最大で最も完全かつ競争力のあるクリーンエネルギー産業チェーンを構築し、多結晶シリコン、シリコンウェハ、太陽電池セル、太陽電池モジュールの生産量は世界シェアの80%以上を占めている。また風力発電機製造能力では、世界全体の60%を占めている。
「なぜ二酸化炭素削減が必要なのか」を考えることは、本質的には「今後どのように発展すべきか」を探求することだ。
一部の国が脱炭素化で後退する姿勢を見せる中、中国のコミットメントは一切揺るぐことはない。なぜなら、中国が目指す発展は、ますます高まる「美しく素晴らしい生活」への人びとの願いを十分に満たす発展であり「新たな発展理念」を体現する発展だからだ。
「グリーン」は質の高い発展の基盤であり「脱炭素」は高品質な発展を推進する内在的な要求に基づくものだ。「脱炭素」を進める中で、中国が実現するのは「発展の方式」そのものの転換なのだ。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews