自動車の生産・販売と輸出入の動向から見た中国経済の展望
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【9月2日 People’s Daily】世界経済の回復が阻害されている状況の今、中国経済の展望はどうだろうか?
各方面がこれについて異なる角度からの分析を提示する中、最近発表された2つのデータに注目が集まっている。
1つは、中国自動車工業協会が5月12日に発表したデータである。それによると、今年1~4月の中国における自動車の生産と販売が史上初めてともに1000万台を突破し、前年同期比でそれぞれ12.9%と10.8%増加した。そのうち、新エネルギー車の輸出は64万2000台で、前年同期比52.6%の増加となった。戦略的支柱産業である自動車の好調な成績は、中国経済の質の高い発展の深層的なロジックを反映したものだと言える。
2つ目は、税関総署が5月9日に発表したデータである。それによると、今年1~4月の中国の貨物貿易の輸出入総額は前年同期比2.4%増加した。そのうち4月の貨物貿易輸出入は前年同期比5.6%増加し、その中で輸出額は前年同期比9.3%の増加だった。
国際貿易に逆風が吹く中なお成長が続く背景には、「中国製造・中国創造」の強力な支えがある。
英国の通信社「ロイター通信(Reuter)」は「米国の関税政策による不確実性にも関わらず、中国の4月度の輸出額が前年同月比で2桁近い成長率を維持したことは、中国が最近相次いで打ち出した複数の政策措置が積極的な効果を発揮したことを示すものだ」と報じている。
この2つのデータから、人びとは中国経済の粘り強さだけでなく、その雄大な前途(将来性)を見通すことができる。
中国の科学的なマクロコントロールと政府の効果的なガバナンスが、様々なリスクや挑戦に対応する自信の源泉となっている。
中国商務部は5月12日に発表したデータで、24年の中古車更新支援政策の実施以来、買い替え補助金の累計申請件数が1000万件を突破したことが明らかにした。
海外メディアは「中国の中古車更新支援が、米国の関税政策が中国消費者に与えた心理的影響を相殺した」と指摘している。
消費財の更新支援政策は、数千万の家庭に恩恵をもたらしただけでなく、大型耐久消費財販売の成長を力強く後押しした。第1四半期、大規模設備と消費財の更新を支援する「両新政策」により、全国の設備や工器具類の購入投資が前年同期比19%増加し、社会消費財の小売り総額が4.6%増加した。
同時に、科学技術イノベーションと産業革新の密接な融合で、経済全体の活力が掘り起こされた。現在の中国の自動車産業は、科学技術イノベーションが一気に噴き出す時代の真っ只中にある。
新エネルギー技術と電池製造大手「寧徳時代新能源科技(CATL)」は「ナトリウム電池」を発表した。この電池は1万回以上の循環寿命を有し、摂氏マイナス40度の環境でも90%のエネルギーが保持できるとされている。
広州汽車集団(Guangzhou Automobile Group)傘下の新エネルギー車メーカー「広汽伝祺(GAC)」宜昌(Yichang)工場の溶接ラインを訪問すると、500台を超えるロボットが協調作業を行い、最短52秒で1台の新車が生産ラインから出荷されていた。
高級化、スマート化、グリーン化への転換は至る所にみられる。需要が供給をけん引し、同時に供給がまた需要を生み出すという、より高いレベルの動態的均衡が、理念から現実へと具現化している。
先ごろ開催された上海モーターショーでは、100車種を超える世界初公開の新型モデルが披露され、展示車の70%が新エネルギー車で、会場には「ブラックテクノロジー」があふれていた。
ドイツの新聞ウェルト(Die Welt)は上海モーターショーの取材の感想を「大変印象深い。中国はまさに未来に生きている。『技術導入』から『技術輸出』『投資誘致』から『海外投資』『スタンダード適合』から『スタンダード制定』へと進化し、競争の新たな優位性を獲得し、国際協力の新たな局面を開拓している」と感慨を込めて報じた。
今年1~4月、中国のハイエンド技術製品の輸出は前年同期比7.4%増加し、輸出総額の約2割を占め、輸出全体の成長を1.3ポイント押し上げた。「イノベーションの豊かな雨林」の活発な成長こそ、中国経済が景気の変動サイクルを乗り越え、リスクにも耐える自信の源泉である。
「グリーン低炭素」は生態環境問題の根本的な解決策であり、国際的なトレンドでもある。今年1~4月、新エネルギー車の生産と販売はともに400万台を突破し、成長率はいずれも45%を超えた。
中国の新エネルギー車メーカーは、エネルギー再生、製品省エネ、材料循環、技術革新など多様な措置を組み合わせたカーボン排出削減で、産業のグリーン基盤にさらに磨きをかけている。「グリーンナンバープレート」を付けた新エネルギー車が街中を走り回り、より多くの若者が「人生最初の車」として新エネルギー車を選択している。グリーンな生産とグリーンな生活様式とが、ともに前進している。
「中国製造」と海外の需要もまた「互いに熱く呼応」している。
データによると、今年第1四半期に中国から自動車が最も多く輸出された国は、メキシコ、アラブ首長国連邦、ロシア、ベルギー、サウジアラビア、ブラジル、オーストラリアなどだった。
ブラジルの著名な自動車ブロガーは「中国の新エネルギー車が、ブラジル人の自動車購入の新たな選択肢となっている」と投稿した。ブラジル電気自動車協会(ABVE)のリカルド・バストス(Ricardo Bastos)会長は「化石燃料をクリーンエネルギーで置き換えなければならない。これは世界的な産業転換だ」と述べている。
スマート化とグリーン化の発展チャンスを捉え「グローバル+ローカル」の両輪の発展を堅持する「中国スマート製造」は、世界の消費者のより良い生活のニーズを満たすだけでなく、グローバルな交通・エネルギーの転換をけん引する役割を果たしている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews