産業用ロボット、万能選手への道・中国
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【9月1日 People’s Daily】湖北省(Hubei)荊州市(Jingzhou)、中国家電大手「美的(Midea)」の洗濯機工場に、同社が自主開発した「人型ロボット」が導入され、巡回検査、機器の運搬や補修、設備の点検修理などを担っている。
今年ドイツのハノーバーで開催された工業博覧会で、上海のスマートロボット開発企業「上海節卡机器人科技(JAKA Robotics)」は「スマート協働ロボット」を展示した。ポテトチップを軽くつまむほどの制御能力を披露して多くの来場者が驚きのテクノロジーを体験した。
今日、中国の産業用ロボットはあらゆる業界に深く組み込まれ、絶えず成長を続けている。技術革新、利用シーンとの融合、AIの導入を通じて、産業用ロボットは従来の単純なロボットアームから、群体ロボット制御、知的意思決定、全工程にわたる自律化、そして多領域への応用展開を実現する「万能型ロボット」へと進化を遂げている。
美的集団(Midea)の「藍橙実験室(ハイエンド重荷重ロボット国家重点実験室)」に入ると、オレンジ色の「クーカ(Kuka)6軸産業用ロボット」が、それぞれ異なる重さのバーベルを持ち上げながら、体操の鞍馬の技「トーマスフレア」のように疲れを知らず旋回を続けていた。実験室の主任補佐・脱立恒(Tuo liheng)博士の話によると、これは重荷重ロボットの躯体全体の耐久寿命テストだという。
美的集団は2017年にドイツの産業用ロボットメーカー「クーカ」を買収した後、共通技術と重荷重ロボットの核心部品の研究開発への投資を強化し、多くの技術的ブレークスルーを実現した。
「クーカ」の中国企業事業部総経理・陳峰(Chen Feng)氏は「現在、ロボット技術は伝統的な工業分野から広範な応用市場へと移行している。特にハイエンド製造、航空宇宙、エネルギー、医療などの戦略的産業において、高剛性・高精度・高信頼性を備えた重荷重ロボットが、その中核的な装備として、ますます重要視されている」と説明する。
重荷重産業用ロボット分野では、多くの中国企業群がそれぞれブレークスルーを遂げている。江蘇省(Jiangsu)の「エストン(ESTUN Robotics)」は、重工業装備、自動車、建材など幅広い業界で利用できる荷重700キログラム級の産業用ロボットを開発した。安徽省(Anhui)の「エフォート・インテリジェント・イクイップメント」の最新型重荷重ロボットは、昨年100台以上の量産販売を実現した。深セン市(Shenzhen)の汇川技術が開発した「6軸(関節)産業用ロボット」は最大荷重能力220キログラムを達成した。
広州汽車集団(Guangzhou Automobile Group)と日本の日野自動車(HINO Mortors)の合弁企業「広汽領程新能源商用車」の重型トラック製造基地の溶接ラインに入ると、6台の黄色いエストン社製のスポット溶接ロボットが協働作業を行っていた。最適化された設計で、個々のロボットは「自動工具交換システム」を通じて、搬送と溶接タスクを迅速に切り替えることが可能となり、効率が大幅に向上し、合格率は100%を維持しているという。
エストン社は、核心部品の完全自主製作を実現したまだ数少ない国内企業として、細分化された応用シーンに合わせたカスタマイズソリューションを提供する能力を持つ。「広汽領程製造センター」の杜式斌(Du Shibin)部長の話によると、エストンは制御システムの核心プログラムの一部を広汽領程に開放し、両社で運転室溶接ラインの最適化プログラムを共同開発し、その知的財産権を共有している。
近年、中国の産業用ロボットの応用範囲は絶えず拡大し続けている。統計によると、昨年の中国の産業用ロボット生産台数は55万6400台で、前年比14.2%増加した。
国際ロボット連合会(IFR)の最新のデータによると、23年に中国で新しく設置された産業用ロボットは27万6000台で、世界全体の設置台数の51%を占めている。
自動車、3C電子業界(コンピュータ、通信、消費用)に続き、新エネルギー、衛生陶器、金属加工、家具家電など汎用産業分野が、中国の産業用ロボットの新たな主力市場になっている。
さらに、産業用ロボットと人工知能の融合が進み、環境適応のセンシング、継続的自己学習と最適化、人のような判断能力を備えることで、柔軟な生産と知能的な協働を実現し、製造の効率と柔軟性が大きく向上している。
海外のある大規模倉庫の中では、スマート物流・自動倉庫の開発企業「北京極智嘉科技(Geekplus)」の自律移動ロボット700台が、2万平方メートルの立体空間を毎秒2メートルの速度で移動していた。これらのロボットは40の多機能作業ステーションと協働しており、従来の「人が商品を探す」倉庫のモデルを根本から覆している。棚から商品が自動的に作業ステーションへと移動し、ロボットアームが商品を正確につかみ取り、自律移動ロボットが動態経路プランに沿って迅速に輸送する。この倉庫では1日平均35万件以上の貨物が処理され、単一作業ステーションのピーク効率は1時間当たり500件に達する。
群体知能制御や動態経路プランなどの技術的なブレークスルーにより「極智嘉」社は、単一システムで5000台以上のロボットの動きを調整する技術力を有し、世界中に10件余りの「1000台レベル」のロボットスマート倉庫のモデルプロジェクトを立ち上げた。同社はシーメンス、「寧徳時代(CATL)」などグローバル製造業のリーダー企業と深い協力関係を展開し、物流のスマート化を推進している。
「人工知能+産業ロボット」の将来性について、クーカ社の陳峰氏は「中国の現在の産業用ロボットの市場規模はおよそ30万台で、そのビジネスモデルはカスタマイズ開発、専門技術者による設置・調整、時には現場に張り付いてのサポートまでを含んでいる。今後、産業用ロボットは、工場出荷時に人工知能を内蔵し、「箱から出したらすぐに使用可能」「ワンクリックインストール」「予測メンテナンス」などの機能が市場から求められ、またそれが現実化していく」と述べている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews