【8月21日 AFP】イスラエルは20日、国際社会が将来のパレスチナ国家を脅かすと警告しているにもかかわらず、占領するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸を南北に分断する形でユダヤ人入植者住宅約3400戸を建設する計画を承認した。

イスラエルは長年、エルサレムと既存の入植地マーレアドゥミムの間に位置する「E1」と呼ばれる約12平方キロの土地に入植者住宅を建設する野望を抱いてきたが、国際的な反対を受け、計画は数十年にわたって凍結されてきた。E1の近くにはヨルダン川西岸を南北に結ぶ道路も通っている。

反対派は、この入植地はヨルダン川西岸を事実上二分し、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家の樹立への期待を損なうと主張している。

イスラエルの極右ベツァレル・スモトリッチ財務相は先週、E1に入植者住宅約3400戸を建設する計画への支持を表明していた。

マーレアドゥミムのガイ・イフラフ首長は20日の声明で、「つい先ほど、民政局がE1地区の入植者住宅建設計画を承認したことを発表できてうれしい」と述べた。

パレスチナ自治政府(PA)は、この動きを即座に非難した。

PA外務省は声明で、「これはイスラエルとパレスチナが平和的に共存する2国家解決の実現、すなわち現地にパレスチナ国家の樹立する可能性を損ない、地理的・人口的な統一性を分断するものだ」と指摘。

この動きは「イスラエルが占領するヨルダン川西岸を分断し、武装した入植者民兵の脅威にさらされながらイスラエルの検問所を通らなければ移動さえままならない真の監獄にするものだ」と付け加えた。

ヨルダン川西岸におけるイスラエル人入植地はすべて、イスラエルの承認の有無にかかわらず国際法上違反だ。

イスラエルはヨルダン川西岸のパレスチナ人の移動を厳しく制限しており、当局から許可を得なければ東エルサレムまたはイスラエルへの検問所を通過できない。

イスラエル・パレスチナ紛争の文脈におけるエルサレムに焦点を当てているイスラエルのNGO、イル・アミムの研究員、アビブ・タタルスキー氏も、この動きを非難した。

「本日の承認は、スモトリッチ財務相がパレスチナ国家樹立の可能性を葬り去り、ヨルダン川西岸を事実上併合するための戦略的計画と表現した計画を、イスラエルがいかに断固として追求しているかを示している」と指摘。

「これは、アパルトヘイト体制を実施するというイスラエルの意識的な選択だ」と付け加え、国際社会に対し、この動きに対して緊急かつ効果的な措置を講じるよう求めた。

イスラエルの極右閣僚らはここ数か月、ヨルダン川西岸のイスラエルへの併合を公然と要求している。

ヨルダン川西岸での入植活動を監視するイスラエルのNGO「ピース・ナウ」によると、E1のインフラ整備は数か月以内に、住宅建設は約1年以内に開始される可能性がある。

ヨルダン川西岸では、パレスチナ人約300万人が暮らす一方、入植地に約50万人のイスラエル人も居住している。(c)AFP