5人未満の職場も労働法適用へ…韓国で「現場無視」の声噴出
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【08月20日 KOREA WAVE】韓国のイ・ジェミョン(李在明)政権が、現行の労働基準法の適用対象外となっている従業員5人未満の零細事業所にも労働関係法の適用を段階的に拡大する方針を示し、小規模自営業者らの強い反発を招いている。
大統領直属の国政企画委員会は、8月13日に大統領官邸迎賓館で発表した「イ・ジェミョン政権の国政運営5カ年計画」で、「5人未満事業場に対する労働関係法の段階的拡大適用」を国政課題として掲げた。これはイ・ジェミョン氏がかつて大統領候補だったころに公約していたもの。野党「国民の力」の大統領候補だったキム・ムンス(金文洙)氏も閣僚時代に推進した経緯もあり、与野党の大きな異論なく、年内の推進が有力とされる。
計画では、2025年後半から「職場内いじめ禁止」や「母性保護」条項の先行適用を開始し、2028年までに労働基準法の全条項を完全適用する。これまで労働基準法は原則として従業員5人以上の事業所にのみ適用されており、解雇手続き、労働時間、残業代、有給休暇などは適用外だった。
その拡大適用の狙いは、約1000万人にのぼる零細事業所の労働者に対する“法の空白地帯”を是正することにある。統計庁によると、2025年4月時点で従業員5人未満の事業所に勤務する労働者は999万4000人で、全体の34.6%を占める。
しかし現場からは反発の声が続出している。市民団体「職場ハラスメント119」によると、5人未満の事業所で働く労働者の32.9%が「もっとも被害を受けている労働基準法の条項」として「加算手当(残業・深夜手当など)」を挙げた。
小規模事業者団体である小商工人連合会によると、労働基準法が適用されれば、事業所1カ所あたり年間約351万ウォンの追加コストが発生するとされる。これは2021年基準で月平均営業利益が約233万ウォンしかない小商工人にとって大きな負担だ。
特に夜間営業が多いコンビニ業界では「オーナーが24時間店に張り付けというのか」との不満が上がっている。これまで夜勤手当の支給義務がなかった5人未満の事業所も、適用拡大により1.5倍の手当が必要となるからだ。
韓国コンビニ加盟店協議会によると、全国約5万5000店のうち3万店ではオーナーの月収が100万ウォンに満たず、最低賃金の上昇により従業員の勤務時間を削り、オーナー自身が1日12時間以上店頭に立ってようやく維持されているという。
あるコンビニオーナーは「従業員保護を理由にした労働基準法の拡大で週52時間制を奨励しながら、オーナーは週100時間働かないと生活が成り立たない」と訴えた。
今年中に優先適用される予定の「職場内いじめ禁止」条項についても、小規模店舗では現実的ではないとの声がある。現行法では、いじめの申告があれば直ちに加害者と被害者を勤務場所で隔離し、有給休暇を与えなければならない。ソウル市内のフランチャイズ鶏料理店の店主は「20坪に満たない小さな店で、スタッフ同士が常に接している。勤務場所の分離なんて無理だ」と話した。
こうした状況に対し、小商工人団体は強硬な姿勢を示している。小商工人連合会は2025年の重点課題として「5人未満事業所への労働基準法一括適用反対」を掲げており、今後さらなる抗議行動も予想される。
ある専門家は「労働者の権利保護が進めば、それに比例して自営業者の権益が縮小する“ゼロサムゲーム”の様相を呈する。小商工人の売り上げがまだ完全に回復していない現状を踏まえ、現場の声を十分に取り入れつつ段階的に進めるべきだ」と提言した。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News