【8月14日 AFP】米国のドナルド・トランプ大統領は13日、民間宇宙産業の規制を緩和する大統領令に署名した。この中には一部の環境審査の廃止も含まれており、かつての顧問である実業家イーロン・マスク氏を喜ばせる動きとなりそうだ。

大統領令は、米国でのロケット打ち上げ数を「大幅に」増やすことを目的としている。環境団体からは「無謀だ」との批判の声が上がった。

2期目の再就任以降、トランプ氏は人類を月や火星に送る計画など複数の宇宙ミッションに言及してきた。これらの計画には、マスク氏が率いる民間企業スペースXの大型ロケット「スターシップ」が使われる見通しだ。

スペースXは昨年、大小さまざまなロケットを130回以上打ち上げ、世界市場を席巻した。トランプ氏の大統領令を受け、打ち上げ回数はさらに増えるとみられる。

大統領令には「米国の政策は、打ち上げ市場を競争力のあるものとし、2030年までに商業宇宙打ち上げの頻度を大幅に引き上げることで、宇宙における米国の偉大さを強化すること」と明記されている。

この変更は、長年宇宙産業の規制緩和を訴えてきたマスク氏に有利に働く可能性がある。世界一の富豪であるマスク氏は、かつてトランプ氏の側近だったが、7月に公の場で対立し、決別した経緯がある。

大統領令ではまた、署名式に同席した運輸長官でNASAのショーン・ダフィー暫定長官に対し、「運輸省による打ち上げの環境審査を廃止または迅速化する」よう求めた。

スペースXは、史上最大かつ最強のロケットであるスターシップの発射場周辺での環境影響について、繰り返し批判を受けてきた。

米国の非営利団体「生物多様性センター」は、今回の大統領令が「保護されている植物や動物の大規模な破壊への道を開く」と非難した。(c)AFP