ソウル市鍾路区の北朝鮮人権記録センター(c)news1
ソウル市鍾路区の北朝鮮人権記録センター(c)news1

【08月13日 KOREA WAVE】韓国政府が2018年以降毎年作成してきた「北朝鮮人権報告書」を、今年は発行しない方針であることが分かった。イ・ジェミョン(李在明)政権発足後、南北関係改善を掲げた融和的姿勢の一環で、北朝鮮の弱点である人権問題で刺激を避ける狙いとみられる。

複数の政府関係者によると、統一省は北朝鮮人権法第15条に基づき、9月の定期国会前に「北朝鮮住民の人権実態」を含む「北朝鮮人権増進計画」を国会に報告する予定。例年はこの国会報告後、内容をまとめた別冊の報告書を作成してきたが、今年はこれを見送る。

北朝鮮人権報告書は、統一省傘下の北朝鮮人権記録センターが脱北者の証言をもとに北朝鮮内部の人権侵害実態を記録した文書。ムン・ジェイン(文在寅)政権時代は脱北者の個人情報保護や南北関係への影響を理由に「3級秘密」として非公開だった。ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権は2023年から公開発行し、英語版を国際社会にも配布したが、イ・ジェミョン政権では非公開化どころか作成自体をやめることになる。

人権という普遍的価値を南北関係の政治的カードとして扱うことへの批判や、北朝鮮人権の記録・監視・圧迫機能を放棄する印象を国際社会に与える懸念が出ている。

統一省は「資料発刊の可否については複数の案を検討中で、2024年版発行以降に新たに収集された証言が多くない点も考慮している」と説明している。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News