【8月12日 AFP】ウクライナ軍と軍事専門家は12日、ロシア軍が前線の一部で急速に前進したと指摘した。範囲は狭いが、戦略上重要な区域だという。

ロシア軍は2022年の侵攻以来、ここ数か月は前線全体で高い代償を払いながらも小刻みな進展を続けており、ウクライナの4地域を併合したと主張しつつ、その制圧をめぐる戦闘を続けている。

ウクライナ軍は12日の声明で、ドネツク州クチェリフ・ヤール村周辺で戦闘があったとし、ロシア側の前進を認めた。

軍と密接な関係を持つウクライナのブログ「ディープ・ステート」は、2日ほどでロシア軍が約10キロ進軍したことを示した。ロシア軍が「確保した狭い地帯は、鉱業の町ドブロピリャを脅かしている。同町では民間人が避難しており、ロシア軍のドローン攻撃も受けている。

また、この進軍は、ドネツク州でウクライナがまだ死守している大都市の一つで、すでに甚大な被害を受けたコンスタンチノフカも脅かしている。

人気軍事ブロガーのステルネンコ氏は、ロシア軍が進軍の過程でドネツクの重要な人口集中地を結ぶ高速道路の一部を掌握したとテレグラムに書き込んだ。同氏はこれに先立ち「状況は危機的だ」とも述べていた。

一方、米国に拠点を置くシンクタンク「戦争研究所(ISW)」は「ロシアの破壊工作・偵察部隊がドブロピリャ近郊に侵入しているとの報告がある」とし、「この地域でのロシアの進展を作戦レベルの突破と呼ぶのは時期尚早だ」と指摘。攻撃を阻止するためには今後数日が重要になると警告した。(c)AFP