内外の異なる市場基準に対応する生産ライン・中国
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【8月26日 People’s Daily】山東省(Shandong)の青島市(Qingdao)西海岸新区にある韓国系の高速精密NC切削機メーカー「青島万基万工具(Qingdao YG-1 Tools)」の砥石の製造現場では、作業員たちが集中して設備を操作し、研磨された砥石が次々と梱包されている。
生産部の金成勛(Jin Chengxun)科長は「この砥石の技術標準は、輸出と国内販売の両方に適用できる。輸出と国内販売の二本柱で事業展開するのは、企業の長く続く未来を実現するものだ」と話す。
輸出用と国内用で製品の技術標準が異なる中で、これら2つの市場に同時に参入するには、どうすればよいのか?
山東省市場監督管理局は2020年「輸出企業の内外販売における『同線同標同質(三同)』工程実施方案」を発表した。「同線同標同質・(三同)」とは、1つのメーカーの同じ生産ラインで、同じ技術標準と同じ品質要求を満たして、目標とする海外市場向けと国内向けの両方に適合した製品を生産することを指す。この方案に従って生産ラインの改造や管理体制の整備を行うメーカーには、さまざまな支援措置が用意されている。
「青島万基万工具」はこの流れに乗ったのだ。
金科長は「国際貿易環境と商品需要は近年大きく変化し、国際市場の需要が減少する一方、国内の自動車や電気機器分野の急速な発展で、研磨や切断用砥石の需要が増加した。わが社が砥石製品の国内販売へ軸足を転換したのは、まさに適切なタイミングだった」と話す。
すでに80以上の国と地域に製品を輸出し、ISO9001品質管理認証を取得していた同社は、輸出市場の実績を拠り所に、国内販売へのシフトにも自信を持って臨んだのだが、当初は予想外の困難に直面したという。不良率が15~20%に達し、一部の顧客からクレームや返品を受けて、月間売上額は40万元(約822万8000円)に留まった。国内市場が開拓できないまま、信用度は急速に低下していった。
その原因は製品の技術標準の不統一にあったという。同社の製品は輸出先の標準には適合していたが、国内販売時には技術標準の変更が求められたからだ。「例えばこの砥石の場合、硬度はFからZまで分類されているが、海外顧客がK硬度の砥石を要求した場合、それが国内向け製品の検査基準ではL~M硬度あたりになってしまう」、金科長はこう話す。
国内販売への転換の際、同社は設備や生産ラインの交換をしなければならなかったのか?それにはかなり多額の投資が必要だ。
新区の市場監督管理局は、同社の困難を把握し、23年1月に認証機関の専門家を同社に派遣し、解決策を共同で検討した。
「工業製品には定型部品が多く、同一の生産ラインで輸出向けと国内向けを同時に満たす製品の製造は難度がかなり高い。しかし、生産ラインそのものは変更せずに、原材料の変更などの工夫で、内外両方に適合する製品の製造は実現可能だ」、新区の市場監督管理局の劉輝(Liu Hui)二級主任科員はこう指摘する。
この方針に基づき、技術チームは製品の硬度の技術改良のため、原料の配合比率を調整し、焼成炉の焼成温度と時間も調整した。何度もの試験を経て、砥石の硬度指標は内外の2つの技術標準を同時に満たす製品が出来上がった。
金科長の話によると、同社は検査の技術標準として「製品硬度等級差異表」を制作し、出荷検査の標準を改定し、「管理体制指示書」を新版に更新して、品質監督検査と出荷検査の基準を厳格化したという。
こうして同社は、「『三同』工業製品認証証明書」を取得し、不良率を1%未満に抑え、国内の複数の自動車企業の指定サプライヤーとなることに成功した。月平均売上額は120万元(約2468万4000円)を突破し、国内外の市場シェアはそれぞれ50%を占めるようになり、今も国内市場シェアは増加傾向にある。
現在「三同」適応企業は青島市に100社ある。野菜や水産物加工品の輸出型企業「青島順昌食品」は、国内食品製造許可証を取得し、国内販売資格を得た。同社の張欽娥(Zhang Qin’e)総経理は「わが社が加工する野菜は、日本、韓国、EUなどに輸出され、製品検査基準は輸出先と中国国内の両方の標準を上回っている。また生産ラインは随時切り替え可能だ」と説明する。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews