【8月12日 CNS】2025年上半期、中国経済のキーワードの一つは「回復力」だった。多くの試練に直面しながらも、中国経済は減速することなく、新たな生産力への投資が加速し、製造業の活力が際立っている。

その象徴ともいえるのが、安徽省の自動車産業の急伸である。今年上半期、安徽省(Anhui)の自動車生産台数は149万9500台に達し、長年1位を維持してきた広東省を抜いて、全国トップとなった。

中国の自動車産業の構図に変化が生まれたことは、経済の潜在力と柔軟性、そして成長余地の大きさを示している。これまで広東省(Guangdong)は、中国最大の自動車生産拠点として2016年から首位を守ってきた。2024年には年間570万7400台を生産し、2位の安徽省の2倍以上の差をつけていた。

しかし2025年に入り、安徽省の勢いが加速。第1四半期の生産台数は76万1700台で、広東の66万5100台をおよそ10万台上回った。安徽省の躍進の背景には、自動車産業構造の質的転換がある。

特に、新エネルギー車の分野ではその傾向が顕著だ。今年上半期、安徽省の新エネルギー車生産台数は61万3300台に達し、全国1位を記録。これも同省にとって初の快挙となった。

時系列で見ると、安徽省の自動車および新エネルギー車の生産は近年、爆発的な成長を遂げている。2020年にはわずか10万5000台だったが、2024年には168万4000台にまで拡大し、わずか4年で15倍の成長を達成。全国順位も第4位から第2位へと上昇した。

なお、統計の算出方法の変更も、今回の順位逆転に一定の影響を及ぼしている。国家統計局は2025年から、従来の「企業法人所在地」ベースから「生産地」ベースへと切り替えた。この変更で最も影響を受けたのが、比亜迪汽車(BYD)である。これまで同社の安徽省での生産台数は本社のある広東省に計上されていたが、2025年からは安徽省に含まれるようになった。

ただし、単に集計基準が変わっただけではない。産業構造全体の転換と、安徽省が進めてきた先進的な産業政策の成果が背景にある。地元の政府関係者も「これは安徽省が長年、自動車産業に注力してきた成果の表れだ」としている。

実際、安徽省は過去10年にわたって新エネルギー車分野への投資を積極的に進めてきた。2020年には経営危機に陥った上海蔚来汽車(NIO)を救済し、2021年にはBYDの合肥工場が落成。2023年には安徽江淮汽車集団(JAC)と華為技術(ファーウェイ、Huawei)がスマート新エネルギー車で提携するなど、戦略的な動きが相次いだ。

現在、安徽省には完成車メーカーが7社集まり、部品サプライヤーは規模以上の企業で3000社以上、アフターサービス企業は1700社以上にのぼる。完成車からバッテリー、部品、販売、サービスまでを網羅した新エネルギー車のエコシステムが構築されつつある。

また、産業が省都・合肥市(Hefei)に一極集中せず、安徽全域に広がっていることも特徴だ。例えば蕪湖市(Wuhu)は奇瑞汽車(Chery Automobile)の活躍により、2024年の安徽省内における自動車生産の46.2%を占め、輸出台数は省全体の約8割を担った。新エネルギー車の生産も29万9000台で、前年同期比157.1%増という著しい伸びを見せた。

さらに蚌埠市(Bangfu)は、自動車部品の拠点として台頭しており、車載ディスプレイ、自動車用ガラス、新エネルギー電池、車載センサーといった分野で相次いで技術的ブレークスルーが見られている。

安徽省のこうした快進撃は、変化を恐れず、未来に果敢に投資してきた地域こそが、時代の転換期において先手を打てることを如実に示している。

現在、自動車産業は急速にスマート化へと向かっており、真の競争はまだ始まったばかりである。かつて自動車大国として君臨してきた地域でも、改革への対応を誤れば「脱落」の危機に瀕する。

今回の「トップ交代」は、単なる順位の変動にとどまらず、中国製造業の変革と進化を象徴する重要な出来事といえる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News