【8月8日 AFP】砂漠化への意識を高め、政府に行動を求める農民や科学者、環境保護活動家の一行が7日、ラクダに先導されてハンガリー・ブダペストの中心部をデモ行進した。

人間の活動が引き起こす気候変動の影響が世界におよび、熱波の長期化や頻度の増加、激化、そして世界的な降水パターンの変化が発生している中、ハンガリーは欧州連合(EU)内でも干ばつに最も脆弱(ぜいじゃく)な国の一つとされている。

欧州干ばつ観測所(EDO)のデータをAFPが分析したところによると、7月11日から19日にかけて、ハンガリーの国土の63%が深刻な干ばつに見舞われたことが明らかになった。

専門家は、同国内を流れるドナウ川とティサ川の主要二河川に挟まれた南部地域が乾燥し、徐々に砂漠化していると警鐘を鳴らしている。

デモ隊は、ハンガリー政府が時代遅れの排水およびかんがい開発システムに重点を置いていると非難していて、誤った水管理政策を追及している。

セゲド大学の気候・環境史家であるラヨシュ・ラツ氏はAFPの取材に対し、「19世紀後半、農業政策は過剰な降雨のために設計された水管理システムを考案した」「しかし、20世紀末までに、このシステムは完全に機能不全に陥った」と述べた。この地域では、地球温暖化のために降雨量が著しく低下している。

デモ参加者は政府に対し、保水に適した地域を指定して、持続可能な土地利用の促進を求めている。

政府は、かんがい開発への支援を含め、責任ある持続可能な農業用水管理の確立に取り組んでいると主張している。農業省は、7年間で約4億2000万ユーロ(約721億円)を農家の水管理プロジェクトに費やしている。(c)AFP