【8月8日 AFP】大規模な入植地拡大を主導を主導するイスラエルの極右ベツァレル・スモトリッチ財務相は7日、20年前に退去させられたパレスチナ自治区ヨルダン川西岸のサヌール入植地の再建計画を発表した。

イスラエルは2005年、パレスチナ自治区ガザ地区からの軍と入植者の撤退を含む「撤退政策」を実施。その一環としてサヌールの入植者たちも強制排除した。

イスラエルの入植活動に携わる人々の多くは、2005年に退去させられたサヌールをはじめとするヨルダン川西岸北部の入植地への帰還を訴えている。

スモトリッチ氏は7日、サヌール入植地に移住する準備を進める家族らと共に現地を視察し、「2005年の排除という過ちを正している」と主張。

「追放されたすべての場所にいつか戻ることになるのは、当時から分かっていた」「これはガザにも当てはまることだが、ヨルダン川西岸ではなおさらそうだ」と語った。

イスラエルが1967年以来占領しているヨルダン川西岸における入植地は国際法違反だ。国際社会では、永続的な平和への大きな障害かつ将来のパレスチナ国家の領土保全を損なうものとみなされている。

パレスチナ自治政府(PA)は、スモトリッチ氏らのサヌール入植地訪問を強く非難。「(イスラエルによる)ヨルダン川西岸の段階的な併合を確固たるものにする計画の一環であり、イスラエルとパレスチナが平和的に共存する2国家解決の実現可能性に対する直接的な脅威だ」と述べた。

パレスチナ外務省は声明で、「20年前に撤退した入植地を復活させる」動きは、パレスチナ人の土地のさらなる収奪につながると述べた。

イスラエルは5月、22の入植地建設を発表した。その中には、2005年に撤退したヨルダン川西岸北部の四つの入植地のうち、サヌールとホメシュの二つが含まれている。

ヨルダン川西岸での入植活動を監視するイスラエルのNGO「ピース・ナウ」によると、イスラエルが建設を発表した22の入植地の一部は、既に現地に存在していた。

集落が独立した入植地に格上げされたケースもあれば、イスラエル法でさえ違法とされる入植地「アウトポスト(前哨地)」が正式に認められたケースもあるという。

ヨルダン川西岸では、パレスチナ人約300万人が暮らす一方、入植地に約50万人のイスラエル人も居住している。

ヨルダン川西岸における入植地の拡大は、1967年以降、すべてのイスラエル政権下で続いてきたが、現在のベンヤミン・ネタニヤフ政権下では、特に2023年10月にガザ紛争が始まって以降、劇的に加速している。(c)AFP