デジタル知能技術で地域格差の解消を目指す・中国
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【8月14日 People’s Daily】山西省(Shanxi)の韓庄村の村民・梁平平(Liang Pingping)さんは青ざめた顔色で自宅のオンドルの上に横たわっていた。
村医の陳彦(Chen Yan)さんは「巡回用総合医療キット」から心電図計を取り出し、検査を始めた。そのデータは北京の専門医・馮璞(Feng Pu)医師のモニター画面にリアルタイムで送信され、それを見た馮医師は「すぐに大病院で心筋酵素の検査を受けるべき」との判断を下した。診断が迅速だったため、梁さんは無事に危険を脱することができた。
山西省方山県(Fangshan)は、中国初級衛生保健基金会と共同で「歩く病院」プロジェクトを推進し、県下全村の村医の手元に「巡回用総合医療キット」を配備した。このキットによって専門医の遠隔診療や総合検査が実現し、初期疾患のスクリーニングや緊急疾患の遠隔支援に大きな効果を発揮している。
現在、方山県の90の行政村の診療所では、遠隔診療が延べ1万6000件以上実施され、このサービスを受けた患者の人数は37万人を超え、常住人口の53%をカバーしている。検査費用と患者の外来診療費用の節約金額は、合計1000万元(約2億680万円)近くに上っている。2018年以降、「歩く病院」は複数の省で実施され、恩恵を受けた人数は2000万人を超えている。
方山県の「小さなバックパック」医療が、なぜこのような地域医療の「大幅向上」につながったのか?それは、以下のような大きなメリットが評価されたためだ。
便利な利用体験:診療調整プラットフォームが整備され、患者がQRコードをスキャンして「予約」すると、プラットフォームが位置情報に基づき最寄りの村医を割り当て、往診サービスが全ての村々に行き届くようになっている。
有力な資源連携:「歩く病院」プロジェクトでは、北京や上海などの著名な「三級甲等医院(最上等級の医院)」の専門家による遠隔診療の予約枠が無料で提供されている。村医は遠隔診療を依頼でき、患者の時間と経済負担は大幅に軽減された。
インセンティブ制度:政府が専用の予算を設け、重症の予兆を発見した村医には物質的な報奨が与えられる。村医が自主的に家庭訪問診療を行うよう奨励し、村の診療所を住民の健康を守る堅固な防壁として機能させている。
医療は極めて重要な民生問題だ。自宅の近くで適切な医療が受けられることは、多くの患者の素朴な願いである。
現在、中国は「分級診療制度」や「医療連合体」の構築などを通じて、医療衛生業務の重点を地域にシフトし、医療資源の分散化を推進している。これにより、医療資源の偏在や地域医療の脆弱性といった課題が一定程度緩和されている。
遠隔医療の協力関係を活かし、優良な医療資源の地方への配置を進め、デジタル技術など新技術を利用して「組み込み型医療サービス(予め常設された現場密着型のサービス)」を展開することは、大変有効な方法として、最近ますます注目されている。
データ連携と資源共有は、医療分野だけにはとどまらない。
新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の石河子大学(Shihezi University)では、学生が西安電子科技大学(Xidian University)の実験室設備を資源共有し、遠隔操作で模擬実験を行っている。河南省農業大学(Henan Agricultural University)の科学技術小院は、専門家データベース、オンライン研修、生産販売連携機能を備えた「遠隔協同プラットフォーム」を構築し、遠く離れた農家でもオンラインのスクリーンを通してカスタマイズされた農業技術指導が受けられるようになっている。
近年、中国の「デジタル知能技術」は、教育の機会、高齢者の介護、幼児の保育、医療アクセスなど幅広い分野で実を結び、質の高い資源のカバー範囲と普及度が大きく向上している。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews