【8月18日 People’s Daily】最近の外部環境(海外市場環境)の変化の影響を受け、中国の多くのECプラットフォームでは、直接仕入れ販売、専用ゾーン設置、トラフィック支援、需給マッチングなど多様な措置を講じて、輸出型企業の国内販売チャンネルの開拓を積極的に支援し、大きな成果を挙げている。

浙江省(Zhejiang)のキッチン用品メーカーの責任者・黎雄飛(Li Xiongfei)さんは、増加傾向の売上データを眺めながら「当社の微信小店(ウィーチャットミニプログラム内の店舗)の1日当たりの売上額が、初めて100万元(約2058万円)を突破した」と紹介した。このメーカーは主に北米、欧州、中東市場に製品を輸出している企業だ。

最近、微信(ウィーチャット、WeChat)の運営会社・騰訊(テンセント、Tencent)は「開店グリーンチャンネル」「新規開店インセンティブ」「トラフィック支援」「手数料割引」など10項目の優待措置を導入して、輸出型企業の国内/国外市場の拡大を支援している。

このキッチン用品メーカーは2023年に「微信小店」を開設したが、運営経験不足のため、これまでの成果は限定的なものだった。それが支援措置開始以降は、テンセントの運営担当者が「1対1」でライブ配信の企画やデザイン経験を伝授し、その効果が徐々に現れ始めたという。黎さんは「ライブ配信では、プラットフォームスタッフから例えば『鍋の軽さや洗いやすさなど消費者の関心ポイントに焦点を当てて』など有効なアドバイスを受けたおかげで、ビュー数が数百から数万に急増した」と話す。

「微信小店」の出店者運営責任者・王卓(Wang Zhuo)さんは「多くの輸出型企業の製品には競争力がある。素材からデザイン、品質管理まで優れたベースがある。販売チャネルの転換で国内消費者に適した方法で販売をすれば、ユーザーの認知度が次第に固まり、多くの消費者層にマッチングできるようになる」と説明する。

中国商務部の関係者は、「外貿優品中華行(輸出向けの優良品を国内で販売)」の全体計画に従い、ECチャネルの優位性と世界最大級のオンライン小売市場の規模的な優位性を活かして、輸出型企業の国内販売の拡大を全力で支援する」との政府方針を語っている。

15の主要なECプラットフォームが積極的に対応し、注文品直接調達、供給/調達マッチングなど8つの支援措置を打ち出した。今年4月23日現在、9つのECプラットフォームが輸出型企業の参入グリーンチャンネルを開放し、6つのECプラットフォームが国内販売専用ゾーンを設立している。6000社を超える輸出型企業とマッチングを果たし、600社以上の輸出型企業がECプラットフォームに開店した。

Eコマース大手「京東(JD.com)」が運営するプラットフォームに参入した美容家電メーカー・珠海金稲電気(Zhuhai jindao)の馬虹(Ma Hong)総経理は「わずか半日で、京東が1万点を超える『直ぐに陳列可能な商品』を厳選してくれた」と満足の感想を述べた。

同社は長年国際市場を開拓し、ヘアアイロン、フェイススチーマー、美顔器などを販売している。京東の個人ケア用家電調達/販売チームは同社のニーズを把握し、迅速に対応した。美容家電の責任者がチームを率いて同社の所在地・広東省(Guangdong)珠海市(Zhuhai)に赴き、必要な販売戦略について詳細な打ち合わせを行った。

両者は迅速に「直ちに陳列販売が可能な商品」を厳選して、中国語の説明書を追加するなど必要な措置を講じ、同社の国内販売向け製品の初出荷を支援した。

先日、京東は「今後1年以内に、輸出から内需への転換商品として2000億元(約4兆1160億円)以上の大規模な調達を実施すると発表した。さらに自社の運営モデルとサプライチェーン能力を活用し、輸出型企業の優良製品を直接購入し「外貿優良商品専用ゾーン」を開設して、輸出型企業の販売ルートの拡大を支援するとしている。また開店事業者向けに集中的なトレーニングも提供するとしている。

中国小売り大手・蘇寧易購(Suning)は最近、広東省、江蘇省(Jiangsu)、浙江省(Zhejiang)、山東省(Shandong)など各地でオフラインの専門相談会を開催し、運営トレーニングなどのサービス支援を始めた。同社はオンラインプラットフォームと1000店を超える都市型直営店舗、および1万店を超える県鎮レベルの小売クラウド店舗を活用して、輸出型企業の販売ルートの拡大を支援している。

輸出型企業の中国国内におけるオンライン販売の運営能力にはまだ弱点がある。これに対し、ECプラットフォーム各社は、対応策を次々と打ち出し、輸出型企業が迅速に国内のオンライン販売チャネルを構築できるよう支援を行っている。

ネット販売大手・天猫(Tmall)は最近、「輸出向け特選品」特別キャンペーンを開始し、少なくとも1万社の輸出型事業者と10万点の輸出向け商品を対象に、「迅速な出店手続き」「一部業務の請け負いサービス」「地域密着の専任担当者の個別指導」「天猫スーパーによる直接仕入れ販売」など6つの支援策を打ち出した。これにより、輸出企業のEC出店プロセスを簡素化し、最短で当日に出店完了、翌日には商品を掲載できる仕組みを構築している。

また、EC大手・美団(Meituan)は「EC出店、経営支援、ブランド構築」などのグリーンチャンネルを開設し、輸出向け商品の美団の各販売ルートでのオンライン販売を支援している。例えば「美団小象スーパー(食品、日用品のアプリ注文・配送+実体ミニ店舗)」では、輸出向け優良商品専用のゾーンを設け、専用のマーケティングプランを提供している。同社は「自社ブランド」を通じて、優れたサプライチェーンや工場を有する輸出型企業と協力し、より高品質でコストパフォーマンスに優れた国内向け商品の共同開発を進めている。

データによると、美団が公式にグリーンチャネルを発表して以来、すでに200社を超える企業が国内販売の実際の連携プロセスに参加した。
商務部の関係者は「我々は引き続き、プラットフォーム、業界、地方が内需拡大のための連携を強化し、輸出型企業の経営安定と製品の拡販を支援していく」との政府方針を述べている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews