【8月4日 AFP】米国務省は4日、今週ヨルダン川西岸で米国人1人が死亡したことを確認した。遺族やパレスチナ当局は、イスラエル人入植者による放火が死因だったと主張している。

パレスチナ自治政府や目撃者によると、7月31日、占領下の西岸地区シルワド村でイスラエル人入植者が住宅や車両に放火する事件があった。

パレスチナ保健省によると、ハミス・アヤドさん(41)は火災による煙を吸い込み、死亡した。

アヤドさんの家族は2日、米シカゴで記者会見を開き、同氏が数年前に妻子とともに西岸地区へ移住したが、米企業での勤務を続けていたと語った。

アヤドさんは、7月に入ってから西岸地区で入植者の暴力により死亡した2人目の米国人とみられる。先月には、親族を訪れていた米国籍の20歳の男性が、シンジルの町で暴行され死亡している。

米国のマイク・ハッカビー駐イスラエル大使は、事件を「犯罪的行為でありテロ行為」と呼び、イスラエルに調査を求めた。一方、アヤドさんの死についてはまだコメントしていない。

イスラエル軍はAFPの取材に対し、「シルワド地区で複数の容疑者が車両や財産に放火した」と述べたが、現場に派遣された部隊は容疑者の特定には至らなかったと説明。警察が捜査を始めたとしている。

アヤドさんの死亡に関してコメントを求められた米国務省の報道官は、匿名を条件に「西岸地区のシルワドで米国人1人の死亡を確認した」と述べ、名前は明らかにしなかった。

さらに報道官は、「西岸地区におけるいかなる当事者による犯罪的な暴力も非難する」と付け加えた。

ヨルダン川西岸には約300万人のパレスチナ人が暮らし、約50万人のイスラエル人入植者が混在している。昨年10月のハマスによるイスラエル攻撃をきっかけに始まったガザ戦争以降、同地域では暴力の激化が続いている。(c)AFP