【三里河中国経済観察】上海が再び消費首位の都市に 消費回復の勢いを映す
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【8月12日 CNS】最新の統計によると、1〜5月期における上海市の社会消費財小売総額は6872.11億元(約14兆2525億円)で、前年同期比1.4%増となった。同時期、重慶市(Choangqing)の社会消費財小売総額は6803.63億元(約14兆1105億円)で、前年同期比4.7%増だった。
これは、上海市が再び重慶市から首位の座を奪い返したことを意味する。
今年第1四半期には、重慶が4204.32億元(約8兆7196億円)で上海の4057.45億元(約8兆4150億円)を上回り、消費首位都市となったが、1〜4月期には両者の差は約30億元(約622億1910億円)に縮まっていた。
5月の消費データの急伸を受け、上海は見事に「王者復帰」を果たした。
上海市統計局のデータによると、5月の社会消費財小売総額は前年同月比7.5%増で、4月から4.9ポイントの大幅な上昇となった。
では、上海は何を武器にして消費首位に返り咲いたのか。
その背景には、「政策+イベント」の二輪駆動がある。
5月21日、「上海市消費喚起特別行動方案」が発表され、消費財の買い替え促進をはじめとする32項目の強力な措置が打ち出され、上海の消費伸び率がマイナスからプラスへ転じる土台となった。
消費財の買い替え施策に加え、ネット通販の「6・18」商戦が重なり、買い替え需要はさらに盛り上がった。5月には、上海の買い替え関連カテゴリーはいずれも2桁の伸びを記録した。
その中で、規模以上の企業による家電・音響機器、文具・オフィス用品、通信機器、家具の小売額は、前年同月比でそれぞれ39.4%、12.4%、13.5%、21.9%増加した。
また、上海では初めて「商業エリア・ブティック推進フェスティバル」が開催され、9つの主要商業エリア、約100の商場、約3600ブランドが参加した。「お得な商品+体験の向上」という仕掛けが多くの消費者を引きつけ、金製品や衣料品・靴帽子・繊維製品、化粧品の販売を効果的に押し上げた。
データによると、5月の上海における規模以上企業の金銀宝飾品、衣料品・靴帽子・繊維製品、化粧品の小売額は、前年同月比でそれぞれ12.7%、9.3%、4.0%増加した。
上海の自動車消費市場も、5月にハイライトを迎えた。
上海国際モーターショーの追い風に加え、他地域ナンバー車の買い替え補助や区レベルの自動車補助金などの政策が組み合わされ、自動車販売は大きく伸びた。特に新エネルギー車では、5月の規模以上企業による小売額が前年同月比35.0%増となった。
こうした「政策+イベント」による短期的な消費ブーストに加え、上海の消費成長には長期的な強みもある。
中国経済の首都ともいえる上海は、一人当たり可処分所得が全国最高であり、これが消費成長の最大の支えとなっている。
さらに、上海は初物経済、シルバー消費、自分へのご褒美消費など新たな消費形態を積極的に取り込み、消費シーンを拡充している。加えて国際金融・貿易・航運の中心としての地位があり、毎年開催される国際展示会やスポーツイベントが国内外のビジネス客や観光客を呼び込み、高級消費や観光消費を押し上げている。
全国的な視点で見ても、上海の消費回復は全国の消費好調を映す縮図だ。
国家統計局のデータでは、5月の社会消費財小売総額は前年同月比6.4%増で、2024年に入ってからの最高成長率となった。
ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)は、「今年の『6・18』ショッピングフェスティバル期間中、中国のECプラットフォームでの販売額は過去最高を更新した。慎重な姿勢の家庭に再び消費を促そうとする中国当局の取り組みが成果を上げていることを示す」と報じている。
「消費首位都市」の争いは、まだ終わらない。都市間で競い合うその背景には、中国の消費市場の絶え間ない活力と無限の可能性が息づいている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News