【8月11日 People’s Daily】そよ風が吹く中、そびえ立つ風力発電機のブレードがゆっくりと回転し、緑の電力を絶え間なく送り出している。このような巨大な構造物はどのように製造されているのだろうか?

多くの人には想像外かもしれないが、風力発電機の核心部品であるブレードの製造は長年、労働集約型産業に属していた。その理由は、体積が大きく、重量が重く、表面の曲面が複雑なため、羽材積層、樹脂注入、研磨、塗装などの工程を大量の人手に頼らざるを得なかったからだ。

中国の機電設備大手「三一重能(SANY)」の子会社で風力発電設備の専門メーカー「三一重能韶山(Shaoshan)」のブレード工場を訪れると「完全スマート化位置決め技術」によって主梁が成形され、ブレードの「背骨」となる構造の製造工程が見学できた。

「背骨」の後には、樹脂材料の供給・保管・注入までを自動制御する「大規模集中注入技術」によってブレードの「筋肉」となる部分が作り出された。そしてロボットとレーザー誘導技術との連携により、ブレードの表面研磨と塗装が自動的に進められ、ブレードの「皮膚」が完成した。このスマート工場では、わずか1日で長さ82メートルのブレードが完成した。

工場責任者の彭海兵(Peng Haibing)氏は「このような高効率が実現したのは、AI制御中枢とスマート設備の高度な融合により製造プロセスが改善された自動化生産の成果だ。タブレット端末1台で工場の温度や湿度、またブレードの研磨平滑係数などの指標をリアルタイムで観測でき、全プロセスの精密管理が実現した」と説明する。

近年、中国のハイエンド装備のスマート化生産が、新たな進展を遂げている。中国機械工業連合会のデータによると、2024年には80社を超える機械メーカーが中国初の「卓越したスマート工場リスト」に選ばれ、製品開発期間の平均短縮率は約30%に達した。

一定規模以上の重点工業企業の「デジタル研究開発設計ツール」の普及率は80%を超えている。

中国機械工業連合会・スマート製造分会の劉前軍(Liu Qianjun)秘書長は「この成果は容易に得られたものではない。ハイエンド装備の製造は、かつては典型的な分散型製造の分野に属し、製品の種類が多く構造が複雑なため、スマート化改造のハードルは高かった」と強調する。

劉秘書長の説明によれば「一つ目の課題は、カスタマイズされた注文と標準化生産との矛盾。ハイエンド装備は航空宇宙、軌道交通、建設機械など分野に集中し、これらは仕様が高度にカスタマイズされ、製品ごとに仕様が異なるものが多いこと。メーカー側は協働作業ロボットや自動誘導車などの活用で生産ラインの動的な調整を実現してはいるが、大型製品に柔軟に対応するにはまだ突破できない難しさもある」とのことだ。

また劉氏は二つ目の課題として「ハイエンド装備の製造プロセスでは高い精度と信頼性が要求されること。多くのハイエンド装備が求める加工精度はマイクロメートルレベルで、従来の自動化設備では要求が満たせない。複雑な製造工程のパラメーターも、スマート化改造に対して極めて高い要求を課している。例えば、高速鉄道のCR450動力車ユニットの試作車の製造では、転向台車の溶接が大きな課題だった。試作車の台車には新たな軽量化構造設計が採用され、型材の溶接時に歪みや変形が発生すると修復が困難で、車両全体の品質と安全性に影響を及ぼすことになった」と解説した。

この問題の解決のため「中車長春軌道客車」の謝元立(Xie Yuanli)シニアエンジニアが、チームを率いて膨大な時間を費やし、新しい機械アーム自動溶接操作プログラムを開発したという。謝氏は「ロボット溶接ガンの姿勢や溶接層数、時間などについて数多くの試験を重ね、最適なパラメーターを確定した。最終的には、溶接部の美観、非破壊探傷試験合格、溶接変形なしで溶接後『ゼロ調整』を実現し、機械アーム溶接率は90%に達した」と説明する。

データによると、24年の中国の産業用ロボット生産台数は、前年比14.2%増の55万6000台に達し、過去最高を更新した。スマート製造設備の急速な発展に伴い、ハイエンド装備の製造工場のスマート化改造は、継続的なブレークスルーが実現すると期待されている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews