【8月1日 AFP】米国は7月31日、同盟国がパレスチナの国家承認に向けて動く中、パレスチナ自治政府(PA)職員らへのビザ(査証)発給を拒否すると発表した。

フランス、英国、カナダが9月の国連総会でパレスチナを国家承認する意向を表明したことで、イスラエルと米国は猛反発している。

米国によるビザ発給拒否は、パレスチナ自治政府代表の国連総会出席を困難にする可能性がある。

フランスとサウジアラビアは今週、数十年前から提唱されている2国家解決の理念を復活させることを目的とした国連会議を開催した。この会議では、イスラエルとパレスチナが平和的に共存することによってのみ中東に平和をもたらすことができると主張している。

米国は一方的なパレスチナの国家承認を拒否しており、今回の会議を2023年10月7日のイスラム組織ハマスによる奇襲攻撃で犠牲となった人々に対する侮辱だと非難した。この攻撃をきっかけに、イスラエルはパレスチナ自治区ガザ地区全域で軍事作戦を開始した。

米国務省はビザ発給禁止措置の対象について、パレスチナ解放機構(PLO)の「構成員」とパレスチナ自治政府の「職員」と説明。

両組織について、「国際刑事裁判所(ICC)や国際司法裁判所(ICJ)などを通じて、イスラエルとの紛争を国際化するための行動をとっている」と説して、「暴力の扇動や賛美を含むテロ支援を継続し」、「パレスチナのテロリストとその家族にテロを支援するための金銭や便宜を提供している」と非難した。

イスラエルのギドン・サール外相は、米国のパスポート発給禁止措置は「道徳的透明性」を示すものだと歓迎した。

米国はパレスチナ自治政府を無力で腐敗しているとも批判している。

サール外相は米国務省の見解に同調し、パレスチナ自治政府がイスラエルの標的を攻撃するために「テロリスト」とその家族に資金を提供し、学校、教科書、モスク、そしてパレスチナのメディアを通じてイスラエルへの反感をあおっていると非難した。

サール外相はX(旧ツイッター)に、「ドナルド・トランプ米大統領とその政権によるこの重要な措置は、パレスチナ自治政府によるテロ支援と扇動行為に目をつぶりながら、虚像にすぎないパレスチナ国家を承認しようと急ぐ一部の国々の道徳的ゆがみを露呈している」と記した。(c)AFP