【7月31日 AFP】ロシア極東カムチャツカ半島の東方沖で30日に起きたマグニチュード(M)8.8の地震により、最大4メートルの津波が発生し、日本から南米エクアドルに至るまで、太平洋沿岸全域で数百万人が避難を余儀なくされた。

2011年の東日本大震災以降で最も強い地震だったが、被害は限定的だった。

だが、12か国以上で津波警報が発表され、数百万人の住民が警戒を強めた。

ロシアでは、セベロクリリスク港に津波が押し寄せ、地元の水産加工場が水没した。

ロシア国営テレビの映像には、建物やがれきが海に流される場面が映っている。

アレクサンドル・オフシャニコフ市長によると、津波は海岸線から約400メートル内陸にある第2次世界大戦の記念碑にまで到達した。

日本では、警報が解除または注意報に引き下げられるまでに、約200万人に高台への避難が指示された。

東京電力は、東日本大震災で被災した福島第一原子力発電所の作業員を避難させたという。

国内メディアによると、三重県で車が崖から転落し、運転していた女性が死亡した。女性は避難している途中に事故に遭ったとみられている。

南太平洋沿岸の広範囲は日本時間31日午前3時時点で、依然として津波警報が発令されている。

ガラパゴス諸島では、国立公園が閉鎖され、学校も休校となり、拡声器から警報が鳴り響き、観光客は遊覧船から降ろされ、陸上の安全な場所に避難させられた。

イサベラ島の住民は、徴用されたバスやダンプカーで高台に避難させられた。パトリシア・エスピノサさんは、「私たち住民は本当に怖い思いをしている。先行きは不透明で、何が起こるのか全く分からない」と語った。

エクアドル海軍海洋研究所によると、同国では最大1.3メートルの津波が観測された。海の乱れは今後数時間は続くという。

ペルーは太平洋沿いの121の港湾のうち65か所を閉鎖。海軍は漁を中止し、海沿いには近づかないよう警告した。

これに先立ち、米ハワイのワイキキビーチ付近では津波警報が鳴り響いた。AFPのカメラマンは、人々が高台に避難する中、交通渋滞が起きているのを目撃した。

ハワイ州のジョシュ・グリーン知事は、予防措置としてマウイ島発着の航空便を欠航にしたと発表した。

ドナルド・トランプ米大統領はソーシャルメディアで、「強く、安全でいてほしい」と呼び掛けた。

太平洋津波警報センターはその後、ハワイに出されていた津波警報を津波注意報に引き下げ、地元当局も沿岸部に出されていた避難指示を解除した。

ロシアの科学者らは、地震の直後にカムチャツカ半島中央部のクリュチェフスカヤ山が噴火したと報告した。

ロシア地球物理調査所は、「(クリュチェフスカヤ山の)西側斜面を赤熱した溶岩が流れ落ちているのが観測されている。山の上では強い光と爆発音が確認されている」と述べた。

■観測史上10位以内に入る大地震

30日の地震はカムチャツカ半島で1952年以来最大の地震で、地域の地震監視当局は最大でM7.5の余震が発生する可能性があると警告した。

米地質調査所(USGS)によると、この地震は観測史上10位以内に入る大地震だった。

本震の後、M6.9を含む少なくとも6回の余震が発生し、ロシア極東をさらに揺るがした。

台湾の台東市では、ホテルリゾート従業員のウィルソン・ワンさん(31)がAFPの取材に対し、「お客様には安全を確保し、外出を控え、海岸への立ち入りを避けるようアドバイスしている」と語った。

フィリピンの東約800キロに位置する太平洋の島国パラオは、「沿岸全域」に避難を命じた。

フランス領ポリネシアのマルケサス諸島では、当局発表によると、夜間に最大4メートルの津波が予想されている。(c)AFP