【8月3日 People’s Daily】「グリーン電力」とは、風力発電、太陽光発電、水力発電など再生可能エネルギーによる発電の総称である。「グリーン証書(緑証)」は、再生可能エネルギーのグリーン電力の環境属性を証明する唯一の書類であり、再生可能エネルギーとしての電力の生産と消費を認定する唯一の証明書だ。

「グリーン証書」は国家エネルギー局が一元的に発行するもので、グリーン電力を購入することで得られるほか、単独で取引することも可能だ。各証書は発電日時や発電所などの情報が紐付けられた唯一のもので、また、証書は毎回一度だけの取引のみが認められ、再使用や転売などはできない。

「証書」にはそれぞれ取引番号、購入者、購入数量などが明記され、QRコードをスキャンすると対応する再生可能エネルギー発電プロジェクト名が確認できる。

「証書」は1000キロワット時ごとに1枚交付される。つまり1枚の「証書」を売り買いするたびに、1000キロワット時のグリーン電力が送電網に供給されたか、あるいは消費されたことを意味している。

近年、中国のグリーン電力の生産規模の拡大に伴い、グリーン電力と「グリーン証書」の消費も急速に拡大している。今年3月、国家エネルギー局は1億7400万枚のグリーン証書を発行し、前年同期比9.39倍となった。また今年1~3月の全国のグリーン証書取引量は2億枚に達した。

「南方地域グリーン電力取引システム」にログインすると、多様な商品(グリーン証書)がワンクリックで確認できる。風力発電、太陽光発電、バイオマスなど多様な種別に加え、金額、在庫、電力生産年月などの情報も一目瞭然に確認できる。ユーザーはプロジェクトを選択し、注文と支払いを行うだけで、数分で証書取引は完了する。

それでは、企業がグリーン電力証書を購入する理由は何だろうか?

「輸出型企業、エネルギー多消費企業、多国籍企業、大手国有企業などは、グリーンエネルギーの需要が特に高い企業だ。企業はグリーン電力証書を購入すれば、グリーン電力の消費を実現したことになり、その分だけ二酸化炭素(CO2)の排出量を削減したことになる。こうしてグリーンブランドのイメージを保つことができる」、南方电網深セン供電局市場・顧客サービス部の黄媚(Huang Mei)副総経理はこう説明している

「深セン市特発情報データ科技」の郭兆程(Guo Zhaocheng)副総経理は「わが社は昨年、約5000枚のグリーン証書を購入し、年間500万キロワット時の電力使用量を全て相殺した」と話す。同社はデータセンター建設などを手がける「電力大口ユーザー」で、電力使用量は現在も増加し続けているという。同社は昨年6月からグリーン証書の購入を開始した。郭氏の話によると、グリーン電力の消費に参加し、低炭素社会の責任を実践することは、入札プロジェクトでも競争力の向上にもつながるという。

「グリーン電力証書の購入は、実際にグリーン電力を使用はしないが、グリーン電力の環境属性を購入し、再生可能エネルギー電力を使用するのと同じ効果を実現するものだ。グリーン電力証書の取引は、電力輸送の物理的な制限を突破し、グリーン電力の生産と消費の『橋渡し』となり、新たな発展の機会をもたらすものだ」、供電局の黄氏はグリーン証書の取引の意義をこのように説明している。

ゴムとプラスチックメーカー「深セン市正和忠信」の購買部の朱華偉(Zhu Huawei)経理は「わが社の下流の国際的な顧客はグリーンエネルギーの使用を重視している。昨年操業過程でわが社が使用したグリーン電力は総電力消費の40%を占め、1908万キロワット時を超えた。今年は生産能力をさらに拡大するとともに、総電力使用量の85%をグリーン電力で賄う予定だ。グリーンエネルギーの消費比率を高めることは、より多くの受注を獲得し、自社のブランド価値と世界での競争力を高め『グリーン・ローカーボンの持続可能な発展』を推進する上で、大変有利に働くものだ」と強調している。

そして朱氏の主張は、現在ますます多くの企業の共通認識となりつつある。

昨年、深セン市(Shenzhen)の実際のグリーン電力取引量は17億2800万キロワット時で、前年比189%増加した。参加企業数は717社となり、前年比1075%の大幅増加となった。一方、同市の証書の取引量の方は、昨年1700万件を突破し、グリーン電力に換算すると170億キロワット時に達し、引き続き着実に増加している。

グリーン電力とグリーン証書の取引は、ますます人気を集め、取引市場は加熱し続けている。 これらの取引が活発化している背景には、需要側と供給側の双方向のニーズが一致していることがある。

グリーンエネルギーの技術サービス企業「中広核(広東)新エネルギー(CGN New Energy Holdings)」の電力マーケティングセンターマーケティングマネージャー・王拓(Wang Tuo)氏は「再生可能エネルギー発電プロジェクトの建設には多額の投資が必要だが、グリーン証書の販売による収益の増加は、我々に継続的な開発と投資の動機と自信を与えてくれている」と話す。

「中広核・恵州港100万キロワット海上風力発電プロジェクト」を例に取ると、年間約30億キロワット時のクリーン電力を広東省(Guangdong)に供給しているが、これは標準炭消費量の約100万トンの削減、二酸化炭素排出量の約235万トンの削減、6000ヘクタールの植林に相当している。

グリーン証書取引を通じて再生可能エネルギーの環境価値を「交換」することで、新たな電力システム建設に前向きなインセンティブを与え、グリーン電力とグリーン証書の供給量増加を促進している。

昨年、深セン電力網の再生可能エネルギーの増加容量は28万8600キロワットに達し、前年比51%増となった。再生可能エネルギーの送電量は31億2300万キロワット時で、これは100%全量消費された。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews