人生を選んだ100万人超の新卒大学生、広東で夢を追う
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【8月26日 東方新報】今年3月中旬、浙江大学(Zhejiang University)の博士課程に在籍する鄧(Deng)さんは、広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)で開かれた春の大型就職フェアに参加した。このフェアでは1000社以上の企業が5万件超の求人を出し、約12万人の学生が詰めかけた。
「6月に小鵬匯天(Xpeng Aeroht)に入社し、空飛ぶクルマの研究開発に関わっています。給与や職場環境も満足しています」と、鄧さんは7月24日に語った。粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)のスマート製造は将来性があり、多様な人材が自らの力を発揮できる場だと話す。
今年初め、広東省は「100万人材集結計画」を立ち上げ、7月までに100万人を超える新卒者が広東に留まるか、移住して就職・起業を果たしている。
今年の全国新卒者数は1222万人に達する見込みで、この行動計画は卒業生にとって大きな支援であり、全国的な雇用の安定にもつながっている。
広東省体制改革研究会の彭澎(Peng Peng)会長は、「広東が年初に打ち出した計画を7月中旬には前倒しで達成したのは、経済第一の省としての責任を果たしている証」と語った。
さらに「多くのポストを提供できるというのは、広東の経済の勢いと潜在力を反映しています。企業と学生の間には、相互に選び合う関係が生まれ、学生は足でチャンスと未来、そして自分自身の人生を選んでいるのです」と続けた。
広東省の経済規模は14兆元(約288兆円)を超え、製造業全31分類を網羅し、1兆元(約20兆5720億円)規模の産業クラスターが9つ、1900万を超える事業体と830万社以上の企業を擁する。こうした背景から、多様な人材への需要が非常に高く、活躍の可能性も無限に広がっている。
また、広東は人口・雇用の大省でもある。2024年、人口は74万人増加し、新生児は113.3万人。都市部での新規雇用は143万人を超え、国の目標(110万人)を上回った。さらに、4386万人の出稼ぎ労働者が安定した雇用を得ており、名実ともに「雇用の受け皿」となっている。
この行動計画は、経済の中心地としての役割を担うだけでなく、次世代産業を支える人材の基盤づくりでもある。広東は、AIやロボティクスなど新興分野に焦点を当て、比亜迪汽車(BYD)や広州汽車集団(Guangzhou Automobile Group)、格力電器(Gree Electric)、美的(Midea)といった製造大手に加え、華為技術(ファーウェイ、Huawei)や騰訊(テンセント、Tencent)、大疆創新科技(DJI)といったIT大手からも多数の求人を引き出し、全省で120万件以上の良質な雇用を創出した。
省内に就職した新卒者のうち、最も多くを吸収したのは製造業で10万人を超えた。AI、ロボット、半導体・IC、高度機械、新エネルギー車、空飛ぶクルマなどを含む「低空経済」関連の専攻を持つ卒業生も4万人を超え、新産業育成への貢献度が明らかに増している。
広東芯粤能半導の肖国偉(Xiao Guowei)董事長は「広東ではAIやEV、ロボット、低空産業が盛んで、これらを支えるのが半導体技術。人材の需要は年々増しており、魅力も高まっている」と話した。
広東省はまた、「就職に補助あり、起業に支援あり、研究に助成あり、求職中の住居提供、定住支援あり」という5つの支援策と、「博士後期人材の待遇が良い、必要不可欠な人材への優遇措置、高度人材へのサービス充実」という3つの充実支援策を一体としたパッケージ政策を打ち出している。
深セン市(Zhejiang)の留学生創業支援エリアでは、スタートアップ「天巡智飛(Tianxun)」が開発したAI巡回システムが電力・水利分野で人力を代替している。同社の費天羽(Fei Tianyu)氏は「創業者にとって、広東は理想的な場所です」と語り、オフィス家賃や起業支援、イノベーションコンテストなど多くの補助を受けていると明かした。
広州では、細胞医療企業「広州賽萊拉干細胞科技(SALIAI)」に採用された博士人材の多くが、黄埔区の政策を利用して定住し、最大500万元(約1億286万円)の住宅補助を受けている。
創業者の陳海佳(Chen Haijia)氏は、「広州の人材政策は単なる金銭支援ではなく、住まい・研究・生活・キャリアのすべてを含むエコシステムであり、個人と都市の成長が連動する仕組みとなっている」と語った。
「全国どこから来ても、最終的には広東にたどり着く」。広東省は今後も競争力のある報酬とポジションを提供し続け、全国の人材を積極的に受け入れる。年内を通して様々な採用イベントを開催し、8月末までは「100日集中キャンペーン」および「1000万人規模の採用強化期間」が続く予定である。(c)東方新報/AFPBB News