【7月28日 AFP】国連や支援機関が深刻化する飢餓状態に対処できるよう、イスラエルが一部軍事作戦の限定的な「戦術的休止」を開始する中、ヨルダンとアラブ首長国連邦(UAE)の航空機が27日、パレスチナ自治区ガザ地区に食料を投下した。

ガザ地区は21か月にわたって続いている紛争によって引き起こされた厳しい人道的状況に見舞われており、3月から5月にかけてのイスラエルによる援助の完全封鎖が、さらなる悪化を招いた。

封鎖が緩和されて以降も、ガザ地区に届く援助物資の量は支援団体が必要とする量を大きく下回っている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、自国政府がこの悲惨な状況の責任を負うものではないと主張し、国連を非難している。

世界保健機関(WHO)は同日、ガザでの栄養失調が「憂慮すべきレベル」に達していると警告した。2025年に記録された栄養失調関連の死者は74人で、うち63人は7月に亡くなっている。その内訳は、5歳未満の子供が24人、5歳以上の子どもが1人、成人が38人となっている。

また国連世界食糧計画(WFP)は、ガザ地区の人口の3分の1が数日間食事を取っておらず、47万人が「飢餓に似た状況」に耐えていると述べている。

ヨルダン軍はUAEと協力し、この日ガザ地区上空からパラシュートを投下して25トンの援助物資を届けたと発表。また、イスラエル軍も援助物資を同地域にパラシュート投下したと発表した。

AFPのジャーナリストによると、イスラエルのジキム地区の検問所を経由して、小麦粉を積んだトラックがガザ北部へ到着するのも確認された。さらに、AFPの特派員はエジプトから渡ったトラックが、ガザ地区に入る前にイスラエル側の検査受けたことを確認している。

支援団体オックスファムの地域政策責任者は、イスラエルの最新の動きを「歓迎すべき第一歩」としながらも、それが不十分であると警告した。

責任者は「飢餓は数台のトラックや空中投下では解決しない」「必要なのは真の人道的対応だ。すなわち停戦、完全なアクセス、すべての検問所の開放、そしてガザへの安定した大規模援助の流れである」と述べた。(c)AFP