AI規制 「世界的な取り組み方」が急務、国連通信機関
このニュースをシェア
【7月27日 AFP】国連の専門機関、国際電気通信連合(ITU)で事務総局長を務めるドリーン・ボグダンマーティン氏は今週、人工知能(AI)の規制について全世界的な取り組み方を早急に見いだす必要があると述べ、分断がリスクと不平等を深める可能性があると警告した。
ボグダンマーティン氏はAFPに対し、AIは「実際、人類に利益をもたらすことができる」と期待を述べた。
しかし、大量の失業やディープフェイクと偽情報の拡散、社会構造のほころびなど、急速に進化する技術がもたらすリスクに対する懸念が高まる中、ボグダンマーティン氏は規制が重要であると強調。「適切な枠組みの構築が急務」と述べ、「全世界的な取り組み方」の必要性を強調した。
この発言は、今週米国のドナルド・トランプ大統領がAI分野で中国に後れを取らないよう、積極的な低規制戦略を発表したことを受けてのもの。
トランプ氏の計画は、大規模な規制緩和を求めており、政府は民間部門のAI開発を妨げる可能性のある「官僚的な手続きや厳しい規制」を撤廃することを約束している。
AI技術に対する規制を増やすのではなく、減らすことを求める手法について懸念があるかと問われたボグダンマーティン氏は、米国の計画を「まだ精査している」としてコメントを控えたが、「異なる取り組み方があると思う」と語った。
「欧州連合(EU)の手法がある。中国の手法がある。今は米国の手法を見ている。これらの手法が対話することが必要だと思う」と続けた。
同時に、ボグダンマーティン氏は「85%の国がまだAIに関する政策や戦略を持っていない」と強調。
ボグダンマーティン氏は、既存戦略の一貫したテーマを革新、能力開発、インフラ投資に焦点を当てているとしつつ、「グローバルレベルでの議論がまだ必要なのは、どれほどの規制が必要か、どれだけ規制が少ないのかを見極めることだと思う」と語った。
「グローバルなアプローチの必要性は重要だ」と同氏は述べ、「断片的なアプローチは、すべての人々に役立ったり、届いたりすることはない」と警鐘を鳴らした。
国や企業が急成長する分野での優位性を確立しようと競い合う中、予防措置が軽視される可能性があり、競争に敗れたり、参加する能力がなかったりする人々が取り残されるという懸念がある、と語った。(c)AFP