【7月27日 People’s Daily】福建省(Fujian)晋江市(Jinjiang)は、スポーツシューズや繊維製品など軽工業製品で世界的に知られ、中国の外国貿易の主要な拠点の一つだ。記者は晋江市の複数の企業を訪問し、現地の「敢為人先、愛拼会贏(先手必勝、挑戦こそ成功の鍵)」の精神と中国経済の将来に対する自信を実感した。

晋江市は「中国の靴の都」と称される。長年靴の「甲革(甲の部分の皮革)」の生産に従事する信泰(福建)科技は、繊維や靴材製造などを手がける信泰集団(SinceTech)の中核企業の一つであり、国際的に知名度が高い多くのスポーツシューズブランドのサプライヤーでもある。

  
信泰集団の織物部門「信泰飛織」のスマート工場では、機械の轟音が響き、約2000台の編み機がフル稼働していた。同社の総裁弁公室副主任・許剣飛(Xu Jianfei)氏は「今までのところ国際貿易情勢はまだ大きな影響にはなっていないが、2四半期から3四半期にかけては影響が現れ始める可能性がある。しかし我が社には調整し対応する余地がある」と自信を示した。

その自信の源泉は技術革新にある。近年、同社は年間売上高の約4%を研究開発に投資し、研究開発要員は500人を超えているという。

許氏は「靴の甲部分の製造は、現在は手作業だけでは不十分だ。わが社はデジタル生産を実現し、コンピューターのボタンのワンプッシュで編布指令が送信され、織機が自動的に糸を手繰り、織り上げる。作業員1名が同時に10台以上の機械を管理できる」と説明しする。

現在、信泰集団は単なる受託製造から脱却し、顧客の製品開発に深く関わり、サプライチェーンのイノベーションの重要な一環となっている。完全なサプライチェーンの総合的ソリューションにより、顧客の定着率が非常に高いという。

許氏は「我々は一定期間ごとに新開発の靴の甲を発売している。海外の顧客は『1週間連絡を取らないと、新しいものを見逃してしまいそうだ』と冗談を言っている」と話す。

面積30平方キロに満たない晋江英林鎮には、大小200社を超える水着製造企業が点在している。その中の1社「晋江市七彩狐服装織造」に入ると、従業員が水着、フィットネスウェア、ビーチパンツなどを箱詰めしている光景が見られた。

7、8年前、同社は欧州や南米市場への進出を積極的に進め、「友人の輪(取引先ネットワーク)」はますます大きくなっている。

現在、欧州市場の注文は30%から55%程度に増加し、南米も25%程度に伸びている。近年は「一帯一路(Belt and Road)」構想の質の高い共同建設の追い風を受け、注文の増加率が顕著だ。昨年は3300万点(セット)の注文を納品し、売上高は12%増加した。

同社の業務副総経理・許永祝(Xu Yongzhu)氏は「水着の注文は季節性が顕著だ。米国からの注文は昨年に受注し、今年4月初旬までに納品済みだ。今後の影響は避けられないが、他の市場で補うことができる」と話す。

市場が一つ減った場合、成長の余地はどこにあるのか?

これについて許氏は、エジプトの顧客との出会いのエピソードを語った。2016年、この顧客が同社を初めて訪問し、生地の調達について交渉した。工場視察の後、同社の完全なサプライチェーンに感銘を受け、この顧客は現地エジプトに工場を建設するアイデアを思い付いた。

その後、織機やプリント機から副資材、生地まで、この顧客のエジプト工場建設のために同社が手取り足取り親切な支援を行った。このような海外の協力工場は、ベトナム、フィリピン、ケニアなどにも展開されているという。
 
許氏は「我が社は原材料の調達からデザイン、生産まで、全てを手がけている。単に完成品を輸出するだけでなく『サプライチェーン』そのものを輸出できる。水着の製造は、結局は英林鎮から離れられない。企業は移転できるが、サプライチェーンは容易に移動できない。これが外部からの圧力に対抗できる自信の源だ」と述べている。
  
晋江東石鎮は「中国傘の都」と呼ばれ、全世界の傘の4本に1本が「東石製」だという。

「福建優安納傘業科技」の展示ホールで、王翔鵬(Wang Xiangpeng)総経理は「ここの傘は生地、デザイン、色だけでなく、多くの新機能も備えている」と熱く語った。

これほど多くの種類の傘を製造する時、売れ筋商品の判断を誤るようなことはないのだろうか?

これについて王氏は「中国という超大規模市場が背景にあるので、企業は新しい挑戦に踏み切ることができる。挑戦できる市場規模こそが、他社製品に取って代わられない優位性を維持する基盤となっている」と強調する。

「10万元(約203万9000円)で新しい金型を作り、初期の注文量が1万本の場合、1本あたり10元(約204円)のコスト増になり競争力がない。しかし30万本に達すれば、1本あたりのコスト増は0.3元(約6円)程度に抑えられ、価格上昇も許容範囲内だ。消費者は品質に価値を見出し、この程度の値上がりでは支払いを嫌がらない」、王氏はこのような例を用いて規模のメリットを説明した。

国内外の市場規模を支えに「優安納」はかつてのOEM製造から自社での研究開発・デザイン設計、自社ブランドの構築へと進化した。王総経理によれば、製品の品質さえ良ければ、売り値を提示した後、相手は値引きを求めてこないという。現在「優安納」の傘は、ヨーロッパ、南米、アフリカを含む80か国以上で販売されている。

海外市場の環境変化の影響について、王氏は「良い製品には必ず市場がある。変化を受け入れ、積極的に対策を立てれば、新たな商機が見つかり、市場の新しい領域を開拓することができる」と、前向きな見解を示している。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews