【7月17日 AFP】スペインのペドロ・サンチェス首相は16日、西アフリカのモーリタニアを訪問し、移民がもたらす利益を強調した。スペインでは反移民暴動が起きたばかり。

サンチェス氏は、モーリタニアのモハメド・ウルド・シェイク・ガズワニ大統領との共同記者会見で、スペインなどの先進国の発展は、貢献によるところが大きいとの見解を示した。

だが、モーリタニアは西アフリカから危険な海路で欧州に渡る不法移民にとって重要な中継地点となっており、その多くはスペインを目指している。

サンチェス氏は「今日のスペインの発展と良好な経済状況は、移民、つまりそこで人生設計を立てようとやって来た人々の貢献によるところが大きい」と主張。

「安全、規則的、組織的で、双方に利益をもたらす移住を保証するため」、モーリタニアのような国々と関係強化を呼び掛けた。

スペイン南東部の町トレパチェコでは、先週68歳の男性が北アフリカ出身の若者3人に暴行されたと地元メディアに語ったのをきっかけに数夜にわたり暴動が発生。当局が鎮圧に努めている。スペインの極右勢力はこの騒乱に乗じて移民の強制送還を要求している。

サンチェス氏は移民の役割を擁護している。昨年8月には、スペイン経済に必要な熟練労働者を導入する「循環型移民」制度の構築を目指し、モーリタニアを含む西アフリカ3か国を訪問した。

近年、モーリタニアなどの北アフリカ諸国からスペインなどの地中海沿岸欧州諸国に海路で渡航を試みた移民希望者が数千人死亡している。

スペインの慈善団体「カミナンド・フロンテラス」によると、2024年だけでも約1万500人が海上で死亡した。公式統計によると、2024年には約4万6800人のアフリカ人移民がスペイン・カナリア諸島に到着したが、その数は今年、減少している。

スペイン政府は声明で、スペインとモーリタニアの当局者が16日、交通・インフラ、福祉、サイバーセキュリティー、国立公園に関する四つの協定に署名したと発表した。(c)AFP