【7月17日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領(79)は16日、少女ら数十人の売春をあっせんし、性的搾取目的の人身取引などの罪で起訴された米富豪、故ジェフリー・エプスタイン元被告(勾留中に自殺)をめぐる陰謀論への政権の対応に反発する人々を攻撃し、自身の支持者と「愚かな」共和党員を激しく非難した。

トランプ氏は、自身の支持基盤が長年信じてきた陰謀論を払拭(ふっしょく)しようとしており、今では民主党によるでっち上げだと主張している。今回はこれまでで最も好戦的な口調でこの問題の封じ込めを図った。

トランプ氏は16日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、「私の元支持者たちがこの『デマ』にまんまと引っかかっている」と述べ、「元支持者」を「弱者」と呼んだ。

自身が所属する共和党にも矛先を向け、大統領執務室で記者団に対し、「すべてが大掛かりなでっち上げだ。民主党が仕組んだものだ。そして、一部の愚かでばかな共和党員がそのわなにかかり、民主党の仕事をやろうとしている」と語った。

トランプ氏は同日、訪米したバーレーン皇太子との会談中にこの問題について繰り返し問われると、さらに強硬な姿勢を見せ、荒唐無稽な陰謀論の責任を民主党に押し付けた。

その後、トランプ氏は自身の経済・外交政策における功績を列挙。人々はそのことについて話さず、「3、4年前に亡くなった明らかに非常に深刻な問題を抱えていた男について話している」と不満を漏らした。

「そして悲しいことに、実際には民主党の仕事をしている。彼らは愚かな人々だ」と続けた。

政権の方針に疑問を呈した支持者を「元支持者」と呼んだことについて、事実上の切り捨てになるのではないかとの質問に対し、トランプ氏は「確かに、一部の人々は私の信頼を大きく損ねた」と答えた。

トランプ氏は、かつてエプスタイン元被告の友人だった多くの著名人の一人だが、米領バージン諸島にあるエプスタイン元被告の悪名高い邸宅への訪問は否定している。

トランプ氏は大統領選当選前、エプスタイン元被告の事件に関するファイルを公開することに「何の問題もない」と述べていた。

だが、トランプ政権がファイルを公開せず、この問題の隠蔽(いんぺい)を図ったことで、支持者の激しい反発を招いている。

さらに、政権内にも亀裂が入り、パム・ボンディ司法長官と連邦捜査局(FBI)のダン・ボンジーノ副長官が激しく対立した。ボンジーノ氏は辞任を検討していると報じられている。

トランプ氏は16日、ボンディ司法長官はエプスタイン・ファイルの中で「信頼できるものなら何でも」公開できると強調した。

だが、トランプ氏のこの問題への対応をめぐり、最も親しい側近からも批判の声が上がった。

共和党のテッド・クルーズ上院議員は記者団に対し、「私はずっと前から、すべてを公開すべきだと言ってきた」と述べた。

第1次トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務め、ロシアとの接触についてFBIに虚偽の報告をした後に辞任したマイケル・フリン氏は、「この件の展開はひどいもので、どうしようもない」「これはエプスタインや左派の問題ではない。子どもたちに対する犯罪行為の問題だ」と述べた。(c)AFP