【7月20日 People’s Daily】サウジアラビアで会社と商標の登記手続きを終え、中国に戻った胡保明(Hu Baoming)氏は、休む間もなく湖北省(Hubei)から中東に出荷する商品の国際物流と海外倉庫の手配のオンライン作業に追われていた。
  
胡氏によると、夏が迫り中東は灼熱の気候となり紫外線が強烈で、胡さんの会社の「紫外線カット遮熱フィルム」と「放射冷却塗料」は需要が急増するという。このフィルムは海外で大人気を博し、今年は中東市場向け輸出を急ぎ拡大する計画だ。

胡氏は、このフィルムのメーカー「武漢簡一科技(Gani)」で法定代表人・財務最高責任者(CFO)を務めている。この企業は、新機能フィルムの研究開発、製造、販売を主な事業としている。生産能力拡大と製品の品質向上にともない、胡氏は海外市場のブルーオーシャンの商機を捉え、クロスボーダーEコマースへ参入しようという意欲を高めている。

中国内陸部の企業が国際市場に進出しようとする時は、 昔ならまず海外店舗の開設、マーケティング・プロモーション、物流・倉庫管理、国際決済、輸出先の税務処理など、各々の段階で多くの困難に直面するのが常であった。特に中小企業は、外国貿易の専門員が足りず、海外市場のプラットフォームのリソースにも直接アクセスできず、海外のさまざまな市場の異なる法規への対応も必要だった。

胡氏にとって海外市場への進出は、完全にゼロからのスタートだった。

そこで彼に救いの手を差し伸べたのは「武漢長江国貿越境Eコマース産業園」だった。この産業園は、越境Eコマースの各種サービスプロバイダーとの連携を支援するだけでなく、専門的な海外進出に関わるソリューションも提供してくれるものだった。

2024年上期、胡氏の「武漢簡一科技」は海外の「Eコマースプラットフォーム」に最初の店舗をオープンした。

湖北省(Hubei)武漢市は中国の重要な外国貿易都市の一つである。武漢税関の統計によると、今年の第1四半期、武漢市の輸出入総額は949億7000万元(約1兆9041億円)で、前年同期比17.8%増加した。特に新興市場での成長が顕著だった。

企業の本格的な海外進出を支援するため、24年に湖北省商務部門の指導のもと「武漢金控集団」系列の「武漢長江国際貿易集団」が管轄する「武漢国際貿易デジタル化プラットフォーム」が正式に運営を始めた。

このプラットフォームの業務チームの責任者・李尚松(Li Shangsong)氏は「我々のプラットフォームでは、80件を超える輸出入関連サービスを提供し、1500社以上の輸出入企業に対して踏み込んだ支援を提供し、140社余りの輸出入企業を起業させた」と話している。
  
胡氏の会社は、オフラインからオンラインに移行することで、海外市場への進出が容易になった。プラットフォームにはワンクリック開店機能があり、関連情報をオンラインで入力するだけで、アマゾン・ドットコム(Amazon.com)やイーベイ(eBay)など世界の主要な国際Eコマースプラットフォームの公式開店チームと直接連携できるという。

「どこで店舗を開けば商品がよく売れるのか?」の問いに対し、李氏は「我々は全世界の貿易データを収集・統合しており、企業が新しい市場を開拓する前に、プラットフォーム上で98種に分類した主要な製品の世界の販売状況と市場リスクへの警告をリアルタイムで確認することができる」と説明する。

このプラットフォームでは、すでに200の国と地域、600の輸出入港の20億件の貿易データを把握しているという。クライアント企業は、プラットフォームの貿易データを活用しながら、市場の動向を迅速に分析し、高い成長性を持つ市場を早期に特定できるのだ。

市場を特定し、店舗を開いたら、商品を海外の顧客に届けるため、物流企業と連携して海外配送と海外の倉庫を手配する必要がある。

これについて李氏は「我々は現在、国営大手海運企業『中国遠洋海運集団(中遠海運、COSCO Shipping)』、グローバルEコマースの大手物流企業『菜鳥(Cainiao)』、空港の物流を管理する各地の『空港集団』などと提携しているので、企業はプラットフォームで注文を入れるだけで、これらの越境物流企業と直接連絡を取ることができる」と説明する。

海運が必要な貨物は「中国遠洋海運」と連携し、荷主がプラットフォーム上で船便を予約した後は、一元化された国際物流システムにアクセスすることで、リアルタイムで貨物の輸送状況が把握できるという。
  
こういう便利な機能が使えるので、胡氏の会社「武漢簡一科技」は、海外市場開拓への自信をさらに深めている。胡氏は「我が社はすでに世界12の主要なEコマースプラットフォームに進出し、30以上の店舗を運営している」と話している。

海外進出に伴い、「武漢簡一科技」は新たな課題にも直面した。「酒香也怕巷子深(酒がいかに良い香りでも路地の奥にあれば人は引き寄せられない、すなわち良い商品でも知られなければ売れない)、現地の顧客にどう認知してもらうか?」という課題だった。

胡氏によれば、最初は海外広告を検討したが、コストが高く効果も不確実で、結局断念した。

この問題について李氏は「精密なトラフィック配信の難しさを解決するため、プラットフォームは人工知能を活用したマーケティングツールを開発した」と説明する。企業が製品名とキーワードを入力するだけで、プラットフォーム上で多言語のマーケティングメール、海外ソーシャルメディアの宣伝文、越境Eコマース店舗の商品プロモーション文などがワンクリックで生成でき、企業の海外マーケティングコストを大幅に削減できるのだという。

このような精密なプロモーションのおかげで、「武漢簡一科技」は海外Eコマースプラットフォーム上で徐々に知名度を高め、市場の拡大に成功した。同社の昨年の売上額は800万ドル(約11億4792万円)に達している。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews