【7月18日 People’s Daily】中国・青海省(Qinghai)の三江源国家公園長江源区の「ココシリ国家級自然保護区」は4月になっても、まだ氷と雪に覆われた世界だ。

ココシリ(Hoh Xil)は中国で最も面積が大きい「世界自然遺産リスト」の登録地である。平均海抜4500メートルを超える極寒で酸素濃度が低い広大な無人の地帯に、チベットアンテロープや野生のヤクなど希少な野生動物が生息し、独特の生命の奇跡が営まれている。

ここ数年、可可西里の自然管理のためのインフラ施設や監視システムが整備され、巡視隊員の巡回管理とデジタル「天眼(Tianyuan)」監視システムとが、この高原の聖地を守り続けている。

記者は「三江源国家公園ココシリ管理所」の巡視隊員に連れられて、国道109号線を左折し「卓乃湖」に向かう道を進んだ。道中、チベットノロバ、野生のヤク、チベットアンテロープの群れが、道の両側に現れた。

国家公園の中心部に位置するココシリの道路は、意図的に以前の状態が保たれているが、その他のインフラには新しい変化が起きている。

道路沿いには一定間隔で、規則的に設置された猛禽類を呼び寄せのための「止まり木」や無人監視ステーションが見られた。前者は生態系のバランスを維持し生物多様性を豊かにするために高原の猛禽類が休息できる場所を提供するもので、後者は高原の気候や土壌の変化を監視し、ココシリの自然環境に関する科学研究を支援するためのものだ。

国家公園設立後、巡視隊員の装備は大幅にアップグレードした。以前のピックアップトラックは、四輪駆動の強力なオフロード車に置き換えられた。以前は半月ほどの巡回中は連絡が難しかったが、今では衛星電話でいつでも安否連絡ができるようになったという。

日没前に、海抜4800メートルを超える卓乃湖保護ステーションに到着した。とても意外だったのは、この四方百キロに人の住む気配すらない地域で、携帯電話の電波が通じることだった。

同ステーションの郭雪虎(GuonXuehu)元副所長の話によると、この通信回線設備は昨年敷設されたもので、太陽光パネルで発電し、昼間には家族とビデオ通話もでき、十分満足できる機能を持っているという。

今年48歳の郭氏は「卓乃湖保護ステーション」で13年間勤務した後、2年前に「庫南保護ステーション」に副所長として転勤した。

「庫南保護駅ステーション」はココシリの6つの有人保護ステーションの一つで、現在7人の生態巡視員がおり、2人1組で半月に一度巡視に出ている。また、三江源国家公園設立後、このステーションは科学調査支援の役割も担っているという。

郭氏は「夏になると、卓乃湖は『巨大な産房』になり、約3万頭のチベットアンテロープが庫南保護区から卓乃湖地区に移動して出産する」と紹介する。

郭氏は昨年、中国科学院西北高原生物研究所の専門家と共に、半月をかけてチベットアンテロープの移動ルートを追跡した。

近年、ココシリ地区の生態環境は一貫して改善方向に向かっている。データによると、三江源国家公園内の水源涵養(かんよう)量は年平均6%以上増加している。野生動物の個体数も著しく増加し、チベットアンテロープは保護開始初期の2万頭足らずから7万頭以上に回復し、絶滅危惧種から準絶滅危惧種に格下げされた。希少なユキヒョウ、金色の斑点が特徴の金銭ヒョウ、ユーラシアカワウソも頻繁に姿を見せるようになった。
  
国家公園設立後、巡視隊員の役割はいっそう具体化された。「以前は盗掘や密猟の防止が主だったが、現在は生態指標の観察や生態学の普及活動などの業務が追加された」、郭氏はこう話す。

ココシリ地区の東の玄関口「索南達傑保護ステーション」には、毎年全国各地から多くのボランティアが訪れるという。

 昨年、ここに展示館が新設され、300平方メートルを超える展示スペースがあり、ココシリの自然地理、生態位置、体制改革などの情報を来訪者に紹介している。「我々全員が解説員だ。我々はココシリに精通しており、現地の情報を来訪者の皆さんに詳しく紹介したい」、巡視隊員の一人・バイルさんは率直な気持ちをこう語った。

「索南達傑ステーション」からさらに進むと、柵で囲まれた広大な草原が広がっている。バイルさんがアンテロープの鳴き声を真似ると、遠くの丘陵からすぐに数頭が姿を現した。バイルさんが来たと分かると、数頭の幼いアンテロープが駆け寄ってきた。バイルさんは哺乳瓶を取り出し、片手で幼いアンテロープを抱き寄せ、優しく頭を撫でた。「これは昨年保護した幼いチベットアンテロープだ。ここで1年間育て、野生に戻す準備が整ってから、自然に戻す」、バイルさんはこう説明した。

バイルさんの話では、セーカーハヤブサなどの鳥類救助の対象となるという。

現在「索南達杰ステーション」にはハイテクな雰囲気が加わっている。ステーションの隣には高さ20メートルを超える巨大な監視カメラがそびえている。これは観測ポイントの一つで、映像信号は管理所にリアルタイムで送信され、私たちの取り締まりに大いに役立っている。バイルさんはこう話す。
 
三江源国家公園管理局の孫立軍(Sun Lijun)副局長の説明によれば、「天空地一体化」の監視ネットワークシステムが、公園の生態系保護監視、野生動物保護、取り締まり巡視にとって、リアルタイムで正確なデータ支援と、安全で効率的な技術的保障を提供しているという。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews