【7月16日 AFP】米半導体大手エヌビディアは15日、中国向けのAI半導体「H20」の出荷を再開すると発表した。出荷に必要なライセンスの取得について、米政府が保証したためだ。

同社の半導体は世界で最も先進的な水準にあるが、中国政府がそれらを軍事目的で使用する恐れがあるとして、米国は最先端チップの輸出を規制している。

エヌビディアはこのため、中国向けに性能を落としたAI半導体「H20」を開発した。しかし、ドナルド・トランプ政権が4月に輸出ライセンスの要件を厳格化したことで、出荷は滞っていた。

エヌビディアは15日の声明で、「米国政府はライセンスの付与を保証しており、当社としては早急に出荷を開始したいと考えている」と述べ、「Nvidia H20 GPUの販売再開に向けて申請を行っている」と明らかにした。

中国国営中央テレビ(CCTV)は、黒のレザージャケット姿の同社最高経営責任者(CEO)ジェンスン・ファン氏が「H20の出荷を非常に楽しみにしており、その非常に良いニュースに非常に満足している」と記者団に語る様子を伝えた。

トランプ政権でAIおよび暗号資産政策を担当するデービッド・サックス氏は、米CNBCに対し、H20は「時代遅れのチップ」であり、「最先端技術には程遠い」と述べた。その上で、中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)が「大きな進歩」を遂げており、エヌビディアの市場支配を脅かしかねないとして、輸出再開を認めた経緯を説明した。

サックス氏は「中国に最新かつ最高の技術を売りたいとは思わないが、少なくともファーウェイにとって状況を少し難しくしたいとは考えている」と述べた。

また、今回の決定は米中間で続く貿易交渉とも関連していると明らかにした。(c)AFP