英、学校で「女性蔑視」防止教育実施へ ネットでの流行受け
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【7月16日 AFP】アンドリュー・テート氏のようないわゆる「マノスフィア」界隈のインフルエンサーが発信する性差別的なコンテンツがインターネット上で拡散していることを受け、英政府は15日、学校で子どもたちにミソジニー(女性蔑視、女性憎悪)防止教育を行うと発表した。
マノスフィアとは、女性に対立するものとしての男性の利益や権利に関心を持つオンライン・コミュニティーの総称で、反フェミニズムやミソジニーと結び付くことが多い。
教育省によると、11~18歳の子どもたちは、「インセル(インボランタリー・セリベイト、非自発的な独身者)」文化、そしてポルノとミソジニーの関連性について認識を深めるための授業を受ける。
政府は、若者の間でミソジニーが「流行」していると警告しており、中学校でも新しい指導ガイドラインに基づき、人工知能(AI)を用いて生成された偽の画像や映像「ディープフェイク」に対する意識向上を図る。
ネットフリックスの人気ドラマ「アドレセンス」は、少年たちがインターネット上でさらされる有害でミソジニー的な影響について、幅広い議論を巻き起こし、この問題を浮き彫りにした。
ブリジット・フィリップソン教育相は新ガイドラインを発表する声明で、「子どもたちには、オンライン上に存在する悪意ある勢力を寄せ付けない知識を身に着けてほしい」「学校と保護者は共に、子どもたちが良いロールモデルを見つけ、感受性の強い幼い心をもてあそぶためにネット上で頻繁に行われる操作に抵抗できるよう支援するという重要な役割を担っている」と述べた。
教育省が発表したデータによると、11~19歳の子どもの54%が過去1週間にミソジニー的なコメントを目にした。
同省は新しい授業について、男子生徒が良いロールモデルを見つけ、「男子が男子であるというだけで非難されることなく」ネット上で広まっている恋愛に関する通説に立ち向かうことに焦点を当てると述べた。
3月に公開された「アドレセンス」は、インターネットで過激化した後、少女を刺殺する13歳の少年を主人公としている。
この作品は、自分の容姿に自信がなく、女性を憎む男性たちの「インセル」文化にスポットライトを当てている。
キア・スターマー首相はこのドラマを称賛し、中学校で上映すると述べた。
スターマー氏率いる与党・労働党は昨年の総選挙で、女性と少女に対する暴力犯罪の発生率を10年間で半減させると公約している。
学校は今年9月から新ガイドラインを実施できるようになり、2026年9月からは実施を義務付けられる。(c)AFP