【7月12日 AFP】ミャンマー軍政は11日、軍政トップのミンアウンフライン国軍総司令官がドナルド・トランプ米大統領を称賛し、制裁解除を求めたと明らかにした。トランプ氏からの関税通知を受けたもので、これは米国が軍政によるミャンマー統治を認めた初の事例とみられている。

ミンアウンフライン氏は、2020年米大統領選が「盗まれた」とするトランプ氏の虚偽の主張を支持するとともに、紛争で荒廃したミャンマーについて独立報道を行う報道機関への資金提供を停止したことに感謝の意を表した。

国軍は2021年、クーデターを実行しアウンサンスーチー氏の民主政権を転覆した。以来、ミャンマーは内戦状態にある。

米国務省は、ミャンマー国民を「暴力とテロを用いて抑圧し」「彼らが自らの指導者を自由に選ぶ権利を否定した」として、ミンアウンフライン氏らに制裁を科した。

米国は軍政と正式な外交交渉を持っていないが、トランプ氏は7日、ミンアウンフライン氏宛てに書簡を送り、ミャンマーからの輸入品に対して8月1日から40%の関税を課すと通告した。

シンクタンク「国際危機グループ」のリチャード・ホーシー氏はAFPの取材に対し、「米国がミンアウンフライン氏と軍政を認める兆候を公にしたのは、今回が初めてだ」と述べた。

それ以前の非公式なやり取りは「当然ながら、トランプ氏からのものではないことはほぼ確実だ」と語った。

ミンアウンフライン氏はこの機を逃さず、軍政の情報チームが11日、ビルマ語と英語で公開した複数ページに及ぶ書簡で返答。

トランプ氏の書簡に「心からの感謝」を表明するとともに、トランプ氏の「米国を繁栄に導く強力なリーダーシップ」を称賛した。

また、国軍による権力掌握の正当化も試み、「トランプ氏が2020年米大統領選で直面した困難と同様、ミャンマーでも大規模な選挙不正などの重大な不正行為が起きた」と述べた。

自由なメディアのない国々にニュースを届けることを使命として米国によって設立されたボイス・オブ・アメリカとラジオ・フリー・アジアは、トランプ政権による資金提供停止を受けて、ビルマ語放送を停止した。

ミンアウンフライン氏は、こうしたトランプ氏の措置に「心から感謝する」と述べた。

軍政は、経済と軍事において、同盟国である中国とロシアからの支援への依存を強めている。

ミンアウンフライン氏はトランプ氏に対し、「ミャンマーに対する経済制裁の緩和と解除について再検討」を求めるとともに、関税率についても10~20%に引き下げるよう要求。

トランプ氏が「世界一の市場である米国の特別な経済に引き続き参加するという心強い招待」をしてくれたことにも感謝した。

トランプ氏の懲罰的関税通知を受け、来月の発動を前に多くの国が米国と土壇場での合意締結に追われている。(c)AFP