中国・人工知能をグローバルな発展の普遍的なエンジンに
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【7月17日 Peopleʼs Daily】今年の年初以来、中国の人工知能(AI)スタートアップ企業「深度求索(DeepSeek)」のAIビッグモデルが世界中で爆発的な話題となり、誰もが恩恵を受けられるようなAIの発展方向やスマートサービスのアクセス性向上に関する議論が、ますます活発化している。
人工知能の「大波」が急速に押し寄せる中、世界的な「スマート格差」を埋めるためには、政策やルールによる対処策を探り、国際協力で課題に立ち向かい、包摂的な発展を通じて、前進を図ることが求められている。
技術革命が起きるたびに、未来を照らす星々が現れる一方、亀裂を深める暗礁も潜んでいる。我々の時代は、あらゆるものが自らの反面要素を抱えているかのように見える。富の新たな源泉が、不可思議な力によって、貧困の源泉に変貌してしまう。
思想家カール・マルクス(Karl Marx)が産業革命期に指摘した「富のパラドックス」は、今やスマート時代において、新たな姿で再び出現している。
現在、世界のスマート格差は、研究開発投資、ハードウェア資源、人材育成、応用能力など多方面に及んでいる。国際労働機関(ILO)と国連事務総長の技術使節室(Office of the Secretary-General’s Envoy on Technology)が共同で発表した報告書によると、世界は毎年計算能力向上技術に3000億ドル(約43兆8330億円)以上を投資しているが、その投資は主に高所得国に集中しており、インフラ整備とスキル開発の格差が、開発途上国とその国のスタートアップ企業を「深刻な劣勢」に追いやっている。
アフリカを例に取ると、現在のアフリカのデータセンターの容量は、世界全体の1パーセント未満である。
国際通貨基金(IMF)が策定した「AI準備指数」は、各国がAI技術の導入と活用にどの程度の備えがあるかを示す指標で、各国の格差を具体的な数値で表している。
2023年の指標を見ると、先進国は0.68、新興市場国は0.46、低所得国は0.32だった。
国際問題のオブザーバーは、スマート格差によって「一部の国家が技術的な利益を独占し、発展途上国は原始的なデータの供給地になり果てる」という極端な二極化を引き起こす恐れがあることに対し警告を発している。
現在、一部の国の政策が、世界のスマート格差を拡大させている。一部の先進国は人工知能開発の優位性を独占し、排他的な小グループを構成して、人為的に技術障壁を設け、悪意を持って人工知能のグローバル・サプライチェーンを遮断している。
人工知能の分野で、格差的なランク付けや国ごとの親疎関係による差別的な扱いを行うことは、不公平なルールで技術的階層を固定化し、政治的思惑で技術の発展を歪めるものであり、多くの発展途上国の科学技術を発展させる権利を奪う行為にほかならない。
アフリカ科学アカデミー(AAS)の前院長のフェリックス・ダパレ・ダコラ(Felix Dapare Dakora)氏は、一部の先進国のこのような行為は、人工知能分野の国際協力を破壊し、人工知能の発展を協力から切り離し(デカップリング)へと導くものだと指摘している。
拡大する世界的なスマート格差は、人々に「技術の進歩は発展を促進し『利益配分のパイを大きくする』ものではあるが、そのパイは必ずしも自動的に『公平に分配される』わけではなく、包摂的な発展をもたらすものでもない」ということを、改めて知らしめた。
国連のアントニオ・グテーレス(Antonio Manuel de Oliveira Guterres)事務総長は、人工知能がグローバルな不平等を悪化させる要因にならないよう努力すべきだと警告している。
人工知能の善い方向への利用のため人類に必要とされるのは、より精巧なアルゴリズムのみならず、より深い知恵と寛大な組み立てだ。国際社会は協力して格差を埋め、どの国も取り残されないようにして、人工知能を世界にとっての「真に普遍的な恩恵をもたらすエンジン」にしていく必要がある。
人工知能の能力向上に焦点を当て、これに関わる技術、人材、インフラの開放と共有を推進すべきだ。技術がもたらす真の価値は、単にツールを最適化するだけでなく、内面から沸き起こる内発的なパワーの活性化にある。各方面の関係者は「南北協力」「南南協力」「三方協力」を積極的に推進し、発展途上国の人工知能とデジタルインフラの連携強化と人工知能リテラシーと人材育成を支援し、人工知能のグローバルな発展の生態系を構築すべきである。
ネットワーク、計算能力、データなどの普及をさらに推進し、中小企業や一般市民に低コストで利用しやすい人工知能サービスを提供し、より大きな規模のデジタル包摂を実現すべきだ。
国際電気通信連合のドリーン・ボグダンマーティン(Doreen Bogdan-Martin)事務局長が指摘するように、人工知能の発展ペースはますます加速しており、安全で包摂的で誰にでも手が届く人工知能の利用体系の構築のため、世界的な協力を強固にする必要がある。
公平性を保ち、全ての人が恩恵を受けられる仕組みを堅持し、各国が人工知能の開発と利用における平等な権利を持てるようにすべきだ。今年2月にフランス・パリで開催された「人工知能アクションサミット」で、フランス、中国、インド、欧州連合を含む複数の国と地域の国際機関は共同で「人と地球のための持続可能で包摂的なAIに関する宣言」に署名し、「グローバル・サウスの人工知能の能力強化を支援し、人工知能技術の普及を促進することが、各国の共通の関心事である」と宣言した。
国際社会は、開放的で壁を築かない、相互のつながりを保ちながら切り離し(デカップリング)をしない、平等で差別しないという原則を堅持し、共に手を携えて、開放的で包摂的で、普遍的に恩恵を与え、差別のない「人工知能発展環境」を構築して、各国の人工知能の発展とガバナンスにおける「権利の平等」「機会の平等」「規則の平等」を確保する必要がある。
人間中心の原則を固持し、人工知能に関する科学技術の倫理とガバナンスの体系を構築しなければならない。
データセキュリティ、アルゴリズム差別(AIの判断や出力が、人種、性別、出身など特定の属性に対して不公正になること)、プライバシー保護、知的財産権など、人工知能の発展に関わる安全と倫理の問題に対して、国際社会は人工知能のリスク評価と警戒のシステムを早期に確立する必要がある。
現在、各国は倫理道徳と原理原則に関する議論を活発に行ってはいるが、関係する法的規範、国際条約、統治機関などは依然として初期段階のままだ。各国の政策と実践の差異を十分尊重しつつ、広範な国際的コンセンサスの形成を進め、人工知能の発展を全世界の社会的責任に合致させるようにしなければならない。
中国は、責任ある人工知能大国として、積極的に「人工知能の格差の是正」を推進している。中国は「グローバル人工知能ガバナンスイニシアチブ」と「人工知能の能力向上と普遍的な恩恵に関する計画」を提唱し、第78回国連総会において「人工知能の能力強化に関する国際協力決議」を全会一致で採択させ、「グローバル・サウス諸国」が人工知能の発展プロセスの中で平等に恩恵を受けられるよう、率先して提唱している。
中国とザンビアはニューヨークの国連本部で「人工知能の能力建設に関する国際協力友人チーム会議」を共同開催し、中国とラオスは「人工知能イノベーション協力センター」を共同で設立した。また中国とカンボジアは協力してカンボジアの農民が「農業用AIプラットフォーム」を活用した種付けや栽培などの「精密な農業」への支援を行っている。
中国のこのような具体的な行動は、より多くの開発途上国が技術革新の参加者となり、推進者となり、受益者となるよう、各国と共に発展を推し進め、共に安全を保護し、成果を共有することを支援するものとなっている。
技術の進歩の最終的な尺度は、それが人類社会の発展に与える影響である。
人工知能は、新たな科学技術革命と産業変革の重要な原動力となっており、加速度的に世界を変革させている。
各国は互いに支え合い、手を携えて前進し、AIのアルゴリズムとプログラミングコードの力を通じて、各国が共に発展するための方程式を解き明かし、「AIによる知能革命」をもって「人類運命共同体」と「文明の本質」とを照らし出すようにすべきである。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews